山口県宇部市には、一度聞いたら忘れられない「ゆうれい寿司」という名の郷土料理があります。
「ゆうれい寿司」は2023年3月、文化庁の「100年フード」に認定された、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化。ですが、山口県民や宇部市民にもあまり知られていません。
知り合いの宇部市民も食べたことがないみたい
宇部のどこで、いつから食べられているんだろう?
ゆうれい寿司とは?由来は?
ゆうれい寿司とは、江戸時代中期から山口県宇部市吉部(きべ)地区に伝わる、酢飯だけで作る真っ白い押し寿司です。
吉部地区は宇部市のいちばん北側。海から離れた山間部のため、当時は新鮮な魚の入手がむずかしい地域でした。
しかし、豊かな自然と寒暖差のある吉部の気候は、お米づくりに最適。そこで、具がない押し寿司「白寿司」が作られ、お盆やお祭りなどのお祝いの日にごちそうとして食べられてきました。
(宇部移住計画instagram/2021年2月の投稿より)
現在のゆうれい寿司は時代に合わせてアレンジされ、中に具が入るようになりました。
ゆうれい寿司の作り方は?
KBC水と緑のキャンペーン
山口県宇部市の楠こもれびの郷で
『ゆうれい寿司』を取材中😋 pic.twitter.com/NFmaJkGqy6— 波田陽区 (@hata_youku) July 27, 2020
もともとのゆうれい寿司は、酢飯のみ。
柚子の搾り汁を使って、ごはんに風味をつけていたそうです。
現在は酢飯に白色のエソのミンチを練り込み、魚介のうまみを加えています。
さらに、押し寿司は2層になりました。
□作り方□
・押し寿司の容器の下に吉部地区の季節の山菜などを入れた酢飯、その上にしいたけの甘煮や錦糸卵、でんぶを敷きます。
・その上に白い酢飯を載せます。
・もう一度同じ作業を繰り返して層を作ります。
・約20分、重しを載せてしめます。
・容器から取り出したら、同じ大きさに四角く切り分けます。
・柳の葉に見立てたキュウリを置いたら完成です!
(※作り方はYouTubeチャンネル「宇部移住計画」内【郷土料理】ゆうれい寿司ってなに!?を参考にしました)
ゆうれい寿司、どこで売っている?
歴史あるゆうれい寿司が手に入るのは、宇部市にある「楠こもれびの郷」です。
こちらの農産物直売所「くすのき四季菜市」で、毎月第2・第4土曜に20個限定で販売しているそうです!
これはなかなかお目にかかれなさそう…
現在ゆうれい寿司を作っているのは、宇部市楠地区生活改善実行グループ連絡協議会のみなさん。
地元宇部の方はもちろん、市外、県外の方にも知ってもらい、味を受け継いでもらいたい、とPR活動を続けています。
食農体験は随時受付中(要事前予約、7名以上)とのこと。内容など詳細は「楠こもれびの郷」にお問い合わせください。
小僧寿しでもゆうれい寿司?
ゆうれい寿司について調べてみたところ、じつは1980年代に小僧寿しが「幽霊寿し」を発売し、爆発的にヒットしていたそうです。
そして、昨年も期間限定で発売されていたのだとか。
(小僧寿しinstagram投稿より)
ひらがなではなく漢字の表記ですが、吉部に伝わるゆうれい寿司と同じく、見た目は真っ白、中に具がたっぷりのお寿司。
こちらをきっかけに、山口県の郷土料理としてのゆうれい寿司を知ってもらえるとうれしいですね。
まとめ
宇部市吉部地区で受け継がれている「ゆうれい寿司」をご紹介しました。
海から遠い吉部地区の方々が、お米だけで作った真っ白い押し寿司。
それが時代を経てアレンジされ、そのおいしさが地域から市外、県外へと発信されているなんて、想像するとうれしくなりますね。
ゆうれい寿司を知らなかった方、食べたことがないという方、ぜひ、楠こもれびの郷で購入してみてくださいね。
わたしもまだ食べたことがないので、早く食べてみたいです!