こんにちは、防府市の主婦なんたんです^^

幼いころからよく耳にしている童謡。
優しくてほっとあったまるような歌詞はいつも、小さい頃の楽しい思い出とともに心によみがえってきます。

そんな童謡の多くの歌詞を手がけているのは、周南市出身の詩人まど・みちおさんです。
「ぞうさん」や「一ねんせいになったら」など、歌って思い出す方も多いかもしれないですね。

つぶた
つぶた
まどさんは周南市出身の人だったんだね。
いったいどんな人だったのかな。

なんたん
なんたん
どんな作品を作ったんだろう?
あの童謡もまどさんの作詞だったりするのかしら。


今回は周南市出身の詩人、まど・みちおさんの生涯や人柄、童謡や詩の代表作を紹介します。

まど・みちおさんとは

おじいさんと二人きりで過ごした幼少時代

まどさんの本名は石田道雄。
1909年(明治42年)11月16日に徳山(現在周南市)に生まれ、幼少期はおじいさんと二人きりで過ごしました。

5歳のある日、目が覚めたらお母さんや兄妹の姿がなかったそうです。
お母さんは、まどさんに告げることができないまま、台湾にいるお父さんのもとへ兄と妹を連れて行ってしまったのです。

そのため9歳で台湾に移るまで、まどさんはおじいさんと一緒に過ごすことになります。
徳山の自然や人々が、多感な時期のまどさんの感性をつちかっていきました。

なんたん
なんたん
家族がいないと気づいた朝や、おじいさんと二人きりの生活。
その時の寂しさと孤独が詩を作る原点になったそうです。

台湾に移り住み、20歳から土木技師として働きながら詩を作り続ける中、25歳の時にまど・みちおのペンネームで投稿した詩が北原白秋に見いだされ、本格的に詩作に取り組むことになります。

つぶた
つぶた
ペンネームの「まど」は、「窓」を開けたら世界が広がるというところから思いついたそう。
変えようとしたところ、北原白秋から「変えなくてよい」と言われたんだって。

30歳で結婚し翌年長男が誕生しますが、太平洋戦争が勃発。
徴兵され3年間南方戦線を転々としますが、その間も日記や短歌、植物記を書き続けました。

名作「ぞうさん」誕生

帰国後神奈川県に居を構え、詩作を再開。次男も誕生しました。
国民図書刊行会で働きながら詩をつくり続け、1951年(昭和26年)に「ぞうさん」を発表、翌年團伊玖麿の曲でラジオ放送され大ヒットします!
1959年(昭和34年)50歳で退職し、詩と童謡の創作に専念するようになりました。

1968年(昭和43年)に最初の詩集『てんぷらぴりぴり』を出版し、第6回野間児童文芸賞受賞。
1994年(平成6年)、日本人初の国際アンデルセン賞作家賞を受賞。

国際アンデルセン賞は児童文学会のノーベル賞に匹敵するほど栄誉ある賞なのだそうです。
そのほかにも生涯つうじて多くの賞を受賞しています。

2009年(平成21年)満100歳を迎えるにあたり、出身地の周南市では様々なイベントを開催。
100歳を超えても精力的に詩作を続け、2014年(平成26年)2月28日、老衰のため104歳で亡くなりました。

まど・みちお 代表的な童謡の作品

まどさんの詩は童謡で歌われているものが多く、きっと誰もが耳にし、口ずさんだことがあると思います。

つぶた
つぶた
面白くて思わずにんまり、心があったかくなる作品ばかりだね。

小学校の教科書にもまどさんの詩が載っているので、みなさんよく知っていることでしょうね。
うちの子たちも小学校低学年の頃、教科書にまどさんの詩が載っていました。

「ぞうさん」

ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよぞうさん
ぞうさん
だれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ
なんたん
なんたん
「おはながながいのね」は、ぞうにとって悪口と受け取るのが当然。
なのに子ぞうは「かあさんも長いのよ」「かあさん大好き」と言えるのがすばらしい。と、まどさんは話されてたんだそう。

「やぎさんゆうびん」

(出典:まど・みちお詩集 ハルキ文庫13ページより)

しろやぎさんから おてがみ ついた
くろやぎさんたら よまずに たべた
しかたがないので おてがみ かいた
―さっきの おてがみ
ごようじ なあに

くろやぎさんから おてがみ ついた
しろやぎさんたら よまずに たべた
しかたがないので おてがみ かいた
―さっきの おてがみ
ごようじなあに

つぶた
つぶた
まどさんがまだ少年だったころ、幼い時に黒ヤギと生活をしていたことを思い
浮かべ、コミカルな詩にしたものなんだって。

「ふしぎなポケット」

ポケットの なかには
ビスケットが ひとつ
ポケットを たたくと
ビスケットは ふたつ

もひとつ たたくと
ビスケットは みっつ
たたいて みるたび
ビスケットは ふえる

そんな ふしぎな
ポケットが ほしい
そんな ふしぎな
ポケットが ほしい

なんたん
なんたん
終戦後の食糧難の時代、ビスケットはとっても貴重なお菓子でした。
そこからできた歌なんだそうです。お菓子がふえるポケットがあったらなぁって。

まどみちお 詩の世界

童謡は耳にしたことが多いでしょうが、まどさんの詩にふれることは少ないのではないかと思います。
まどさんは最初の詩集出版以降は童謡からはなれ、詩作を中心に活動をしています。

なんたん
なんたん
こちらではたくさんの詩の中から3作をご紹介。
どの詩もやさしくて、日ごろでは気づけないまなざしに驚かされます。

「ぼくが ここに」

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも

その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として

 

僕がここにいると、ほかのものは何もここにいることができない、
という詩で、これは要するに、
それほど大事に僕が守られているということなんです。
それは、自然の法則でそうなっているんですね。
ところが人間は、ほかの存在を脅かすことばかりやっていますよね。
年寄りになると、なおさらそのことが強く感じられて、
書かずにいられなかったんです。
(出典:『どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている』新潮社 61ページより)

「びわ」

びわは
やさしい きのみだから
だっこ しあって うれている
うすい 虹ある
ろばさんの
お耳みたいな 葉のかげに

びわは
しずかな きのみだから
お日に ぬるんで うれている
ママと いただく
やぎさんの
おちちよりかも まだ あまく

「どうしていつも」

(出典:まど・みちお詩集 ハルキ文庫 216ページ)

太陽

そして



やまびこ

ああ 一ばん ふるいものばかりが
どうして いつも こんなに
一ばん あたらしいのだろう

 

ほかの人にとっての常識が、
私にとっては、
はっとするような発見なのです。
(出典:『どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている』新潮社 35ページ)

「まど・みちお詩集」
まどさんの詩にもっと触れたい方に、おすすめです。

まとめ

周南市出身の詩人、まど・みちおさんの生涯と作品をご紹介しました。

つぶた
つぶた
やさしくて面白いまどさんの詩の原点が山口県でつちかわれたんだと思うと、地元民としてはとてもうれしくなるね。

なんたん
なんたん
前に周南市の徳山動物園付近に住んでいたころ、近くの小学校前にある地下道を歩いたら、まどさんの「一ねんせいになったら」が流れてたの。
うわあ、ここはやっぱりまどさんの生まれた町なんだなあ、って感動したのを覚えてます。

周南市立美術博物館には「まど・みちおコーナー絵と詩の世界」が常設展示されています。
期間ごとに展示作品を入れ替えているそうです。
周南市立美術博物館にも足を運んでみてくださいね。

この記事で、少しでもまどさんの世界にふれていただけたら幸せます。