本州と九州を結ぶ関門トンネルと関門橋。
トンネルと橋ができるまでは船で行き来しており、本州と九州は交通も文化も隔たりがありました。それが関門トンネルと関門橋のおかげで、今は楽に本州と九州を行き来できるようになっています。
今回は数本ある関門トンネル、関門橋のそれぞれの特徴や歴史、長さや料金などについて詳しく紹介します。
関門トンネルっていくつあるの?
関門トンネルといえば車が通るトンネルを想像しますが、同じ「関門トンネル」の名前で車が通る国道2号線とJR山陽本線が通る鉄道のトンネルがあります。
さらには新幹線の通る「新関門トンネル」、そして関門トンネル(国道2号線)の下には歩いて海峡を渡れる関門トンネル人道があります。
ということは・・・、関門海峡の下には、上を車の通り下を人が歩く関門トンネル、鉄道がとおる関門鉄道トンネル、新幹線が通る新関門トンネルの合計3本のトンネルが通っていることになります。
関門鉄道トンネル
この3本のトンネル、最初にできたのは関門鉄道トンネルです。全長はおよそ3600m。
門司駅と下関駅の間を所要時間およそ6分で結んでいて、鉄道運賃は一区間230円です。
この鉄道トンネルができるまでは、本州と九州は関門連絡船で結ばれていました。
ですが船では乗り換えや荷物の積み替えなど手間がかかり、輸送力も弱くなります。そのため明治末期には輸送力増強のために、トンネルを作ろうという案が出ていました。
戦争の影響での工事中止などを経て、1942年(昭和17年)にようやく、世界初の海底鉄道トンネルとして正式に開通しました。
じつはこの関門鉄道トンネルとほかのトンネル、関門橋では通っている場所が違います(グーグルマップ参照)。
鉄道トンネルは下関市彦島と北九州市門司を結ぶ、関門海峡の「大瀬戸」と呼ばれる場所を通っています。そのほかのトンネルと橋は、関門海峡の中でもっとも幅が狭い(およそ700m部分)「早鞆の瀬戸」を通っています。
これは深さの関係で、早鞆の瀬戸は海底が深いので鉄道が急こう配になるのを防ぐためだったそうです。
関門国道トンネル
つぎに開通したのは関門国道トンネル(国道2号線)で、昭和33年に開通しました。
全長は3461m、海底部分は780m、海底部分は上が車道、下が人道になっている、世界的にも珍しいトンネルです。
戦争の影響で工事が中断するなど、こちらも試掘から完成までに約21年という長い月日を費やして開通しました。今では開通から60年以上たっており、10年ごとに大規模な補修工事が行われています。
道路は片側一車線。その所要時間はおよそ5分、通行料金は普通車160円、軽自動車は110円です。トンネルに入る手前に料金所があり、そこで支払うようになります。(クレジットカード可、ETC不可)
関門トンネル人道
国道トンネルの下にある人道トンネルは、なんとこちらも国道2号線に指定されています。
このトンネルは海底を歩けるのと、途中で福岡県と山口県の県境をまたげるのが人気です!
出入口には記念スタンプがあり、台紙に下関側と門司側両方で押すと証明書がもらえます。
人道は歩行者だけでなく、自転車、50㏄以下の原動機付自転車も利用できます。トンネルの幅は4メートル、長さはおよそ780メートル。所要時間は徒歩で片道15分ほどです。
料金は徒歩は無料、自転車と原動機付自転車は20円です。徒歩無料でお天気を気にせずに歩けるので、地元の方が毎日のウォーキングなどに利用されている様子も見られます。
海底トンネル部分だけが国道トンネルと供用なので、出入り口は国道トンネルとは違う場所になります。下関側はみもすそ川にある関門プラザに、門司側はめかりPAや和布刈神社の近くに出入口があります。
国道トンネルと違い、通行可能時間帯は6時から22時までになっています。
(関門トンネル人道を歩いてみた記事はこちら・関門海峡を歩く!人道トンネル駐車場・所要時間・行き方を解説)
新関門トンネル
新関門トンネルが開通したのは1974年(昭和49年)。関門トンネルの中では、いちばん新しいトンネルです。
全長18713mですが、海底を通るのはそんなに距離はないです。
通過時間はおよそ4分。新幹線だとあっという間ですね。
関門橋
関門海峡のシンボルともいえる関門橋。
およそ5年あまりの工事期間を経て、1973年(昭和48年)に供用開始となりました。長さ1068m、海からの高さは61m。当時は東洋一のつり橋と言われていました。
現在は明石海峡大橋など、長い大きなつり橋ができていますが、それらの橋の先駆けとなったのが関門橋です。
関門橋は高速道路になっており、関門橋を含む北九州の門司ICと本州の下関ICの間の通行料金はETCで420円です。
なお関門橋は風速25m以上になると通行止めになります。
通行止めになった場合には、強風に影響されない関門国道トンネルがう回路になり、反対に国道トンネルが補修工事の際には関門橋がう回路になります。
関門橋の見どころスポットなどの記事はこちら・関門橋見どころおすすめスポット5選・ライトアップ情報は?
まとめ
3つの関門トンネル(人道含めると4つ)、関門橋とそれぞれのできた時期、特徴、料金などについてご紹介しました。
生まれたときにはすでに関門トンネルも関門橋もあったので、あって当然のもののように思っていました。
ですが今回調べてみたことで、戦争による中断など多く苦難を経て完成し、昭和の間に鉄道、車、徒歩で結ばれ、急速に行き来が便利になったことを実感しました。
若いころはしょっちゅう九州方面にJRで行っていて、それでも乗換えが面倒だと思っていたほどでしたが(すみません(;^_^A)、船しかなかったころを考えるととてもありがたいことですね。
関門鉄道トンネルはもう80歳近く。国道トンネルも60歳を超し、老朽化も見られ、大規模な補修工事も行われています。災害時を考えて、新たなトンネルの開通の計画も考えられてきているようです。
これからまた、関門海峡の新たな交通網ができていくかもしれません。