日本最大級のカルスト台地である秋吉台
草原の緑の中に白い岩が美しく映える、特徴ある地形のカルスト台地・・・ですが、「カルスト台地っていったい何?」「はじめからここに草原があったの?」など、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は秋吉台カルスト台地の成り立ちや、その特徴ある地形や景観の維持について調べましたので、ご紹介します。

秋吉台の成り立ちは?

カルスト台地に点在する白い岩は、サンゴなど海の中の生物からできた石灰岩です。
海?サンゴ?ここは山の上なのに?と不思議に思いますよね。

じつは秋吉台、3億5千年前には赤道付近の暖かい海だったと言われています!
きっと色鮮やかな海の中だったんでしょうね。
あたたかい海の中に生息していたサンゴ礁やフズリナなどの遺骸が積み重なって、だんだんと固まっていきます。
秋吉台の石灰岩の元となったサンゴやフズリナの堆積物は、海洋プレートという地球の表面をゆっくりと動く巨大な岩盤の上に成長したものです。

(秋吉台観光パンフレットより)

そのサンゴなどの堆積物は、およそ8000万年もの途方もない歳月をかけて海の真ん中あたりから大陸の縁まで移動してきます。

陸地にぶつかったサンゴは、いろんな岩や石などと混ざって陸にくっつきます。
この色々混ざってくっついた岩(付加体)の地層が秋吉台の骨格(石灰岩)になっていて、およそ2億5千年前ごろにできたと言われています(Mine秋吉台ジオパークパンフレットより)。

秋吉台カルスト台地が赤道近くの海のサンゴ礁だったと思うと、その上を見て散策しているのが不思議な気分になりますね。
とはいえ、なかなか実感がわきませんよね。

秋吉台の石灰岩には、サンゴなど古代の海の生物の化石を見ることができますので、それで少し実感できるところもあるのではないでしょうか。

カルスト台地の特徴ある地形はどうやってできた?

(秋吉台観光パンフレットより)

広い草原に、点々と羊の群れのように見える白い岩。
そしてところどころにある落とし穴のような窪地。

カルスト台地はそんな特徴のある地形です。
石灰岩でできた地層がもとになっているのはわかったのですが、この面白い地形はどうやってできたのでしょうか。

じつは秋吉台を形成している石灰岩は、水に溶けるんです!
地上に降る雨水がほんの少しずつ長い年月をかけて石灰岩の地面を溶かしていくことで、特徴あるカルスト台地の地形ができました。

岩が溶けて、地上には点々とした白い石灰岩ができ、またすり鉢状の穴ができます。
この穴はドリーネと呼ばれ、深さもいろいろ。深いものは100mにもなるんだとか。

小さい頃の宿泊学習で、ドリーネに入ったら出てこれなくなるって脅された気がします・・・。ほんとに深い穴に入っちゃったら出てこれないかもですね(;^_^A

秋吉台の成り立ちをもっと詳しく知りたい方は、秋吉台科学博物館へお立ち寄りください。

秋吉台科学博物館
所在地:美祢市秋芳町秋吉1237-938
TEL: 0837-62-0640
入館料:無料
開館時間:9時~17時
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)

地下の鍾乳洞も水に溶けてできたもの

地上だけではなく、地下にある石灰岩も水によって少しずつ溶けて崩れ、複雑な空洞のある地形ができました。

秋吉台の地下には大小あわせて450もの鍾乳洞があると言われています。
これらの洞窟はおよそ100万年くらい前からでき始めたのだそうです。

中でも観光鍾乳洞として有名なのは特別天然記念物の秋芳洞ですね。
観光で歩けるのは途中までですが、現在その距離は8850mと言われています。

さらに調査が進んでおり、その総延長は今も伸びていっています。
まだまだ秋吉台の地下には、解明されていない部分がたくさんあるんですね。

秋芳洞やほかの観光鍾乳洞である大正洞や景清洞を探検すると、地下なのに上から水が滴ってきて、通路も濡れているところが多くあります。
この滴る水滴は、今この時も雨水が石灰岩をほんの少しずつ溶かしていっている証です。秋吉台の地形は、現在進行形で変化しています。

鍾乳洞の詳しい成り立ちは、秋吉台エコミュージアムでご紹介しています。

秋吉台エコ・ミュージアム
所在地:美祢市美東町赤2368-1
TEL :08396-2-2622
入館協力金:一般200円(高校生以下無料)
開会時間:9時~17時(入館16時半まで)
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)

カルスト台地の景観が維持されているのは

カルスト台地は土壌ができにくかったり雨水がたまりやすかったりして、樹木が育ちにくい地形です。
そのため秋吉台は草原の姿ですが、ほったらかしておくとやはり低木などが生えて次第に雑木林になっていきます。

今に至るまで秋吉台が草原の姿を保てているのは、およそ600年前から周辺の住民の方々行ってきた草刈りや山焼きのおかげです。

毎年2月半ばには、広大なカルスト台地に火を放つ山焼きが行われます
秋吉台に春を呼ぶ行事として、多くの観光客がその様子を見に訪れますが、この大規模な山焼きのおかげで美しい景観を見ることができるのですね。

秋吉台の山焼きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 秋吉台山焼きの歴史・なぜ山焼きをするの?山口伝統の行事を解説!

まとめ

今回は秋吉台カルスト台地がどうやってできたのか、そしてその後どんな地形を作っていったのかをご紹介しました。

調べてみてあらためて思ったのは、目の前に広がる広大で美しい草原は、わたしたちの足元にある地球が何億年もの時間をかけてゆっくりと作り上げてくれたものだということ。
もっと秋吉台を知りたい、そう感じました。

展望台からその光景を眺めるだけでなく、お時間が許せば、地球と長い時間が作り出した不思議な地形を間近に見て、散策していただきたいなと思います。
山口県にいらっしゃったときには、ぜひ秋吉台においでくださいませ^^