山口県民の冬場の食卓に並ぶ郷土料理、けんちょう。
わたしも小さな頃からよく食べていて、根菜の柔らかい食感が大好きでした。
大人になった今もたまに作ると、子どもたちがもりもり食べてくれます。
けんちょうは山口県内全体で食べられている郷土料理ですが、地域によって具材が違って面白いんですよ。
今回は山口県の郷土料理、けんちょうの由来やレシピ、県内での違いをご紹介します。
けんちょうとは?
けんちょうは大根と豆腐をたっぷり使った冬場の保存食です。
野菜と豆腐を油でいためて醤油とみりんで味付けしたもので、味がしみ込むほどおいしくなるので、昔は一度に大量に作り、煮直して食べていました。
お肉を使わないので精進料理の一種と言えますね。
けんちょうは山口県の郷土料理としてとても有名です。
他県の小学校の給食でも、山口県の郷土料理として提供されています。
その土地で食べやすいように、けんちょうをお汁にしてけんちん汁にしている学校もあるそうですよ。
もちろん山口県内の学校でも、給食にけんちょうは出てきます。
家の食卓に並ばなくても、給食で郷土の料理を知ることができるのは嬉しいですね。
けんちょうの由来は?
けんちょうの由来ははっきりせず、いろんな説があるようです。
調べてみたところ、「長崎けんちぇん説」と「鎌倉建長寺説」の2つの説があることがわかりました。
長崎説は、千切りにした野菜と豆腐を炒めて汁もの、蒸し物にしたもの。江戸時代以降に法事などの特別な日に食べられていたのだとか。
鎌倉説は、野菜と崩した豆腐を炒めた汁もの。鎌倉時代から日常的に食べられていた料理だそうです。
けんちょうは日常的に食べられているので、鎌倉建長寺説が由来ではないか、といわれています(第3次下関ぶちうま食育プランより)。
それともうひとつ、「けんちん」説もあります。
同じように野菜と豆腐を使った「けんちん」という料理がありますが、けんちょうはけんちんの山口県的呼び名と考えられているそうです。
ちなみにけんちんの由来は、中国料理のケンチェンがなまったものといわれています。
由来ははっきりしませんが、料理を通していろんな土地がつながっていて、とても面白いですね。
けんちょうのレシピは?
基本のけんちょうのレシピ
<材料>
木綿豆腐 1丁
大根 400g(1/3本ぐらい)
人参 100g(1/2本ぐらい)
粉末だし 小さじ1ぐらい
醤油、砂糖、酒 大2ずつ(同量ずつ)<作り方>
1. 大根、人参はイチョウ切りにします
煮崩れないよう、少し厚めに切ります。
2. ごま油で大根、人参を軽く炒めます
油を回すと煮崩れしにくくなり、コクが出ます。
3. 豆腐を手で崩しながら入れていきます
木べらで混ぜながら、さらに崩していきます。水分を飛ばすように少し炒めます。
4. だし、醤油、砂糖、酒で味を整え、柔らかくなるまで煮ます
野菜や豆腐から水分が出るので、水は加えなくても大丈夫です。JA山口県公式HPより引用
地域によって違うけんちょうのレシピ
けんちょうは地域によって、具材が違います。
- 平生町
具材に手羽肉を食べやすい大きさに切ったもの、ごぼう、れんこん、干しシイタケやこんにゃくを入れる。 - 上関町
昆布を入れて豆腐の代わりに厚揚げを使ったり、切干大根を使うのが特徴。つぶた周防大島でも大根がないときは切干大根を使うんだって - 山口市秋穂
昆布と干しシイタケ、こんにゃくが入って風味がアップ。 - 下関市
さつまいもと里芋、油揚げを入れるところもあり。
地域ごとに具材は違いますが、基本は同じ。家庭でも、それぞれのけんちょうの味があるんでしょうね。
わたしは下関出身ですが、基本のけんちょうとほぼ同じものが食卓にのぼっていました。
みなさんのお宅のけんちょうは、どんなけんちょうでしょうか^^
まとめ
今回は山口県の郷土料理けんちょうをご紹介しました。
わたしは小さい頃好き嫌いが多く、煮物もあまり好きではありませんでしたが、けんちょうは大根と豆腐の優しい味だからか、結構食べることができる料理でした。
自分の家で食べるけんちょうしか知らなかったので、今回調べてみて地域によって入れるものがこんなに違うことがわかり、とってもためになりました。
今では県外の方もけんちょうを知って作っているのがいいですよね。
どこからか山口にやってきたけんちょうが、今度は他の県の家庭でも作られているなんて。面白いし嬉しいです。
けんちょう、冬場にぜひ作ってみてくださいね。