下関市にある住吉神社は、大阪の住吉大社、博多の住吉神社とともに「日本三大住吉」のひとつに数えられる長門国一宮神社です。

社伝によると、神功皇后が三韓征伐の帰路に立ち寄り、住吉三神を祀ったことが始まりとされています。

古くから多くの人々の信仰を集め、現在も地元をはじめ県内外からたくさんの人々が参拝に訪れている住吉神社。

拝殿は国宝、本殿は国の重要文化財に指定されており、深い歴史や貴重な建物に触れながら参拝できるスポットです。

つぶた
つぶた
住吉神社にはどんなご利益があるのかな? アクセスや場所も知りたいな
なんたん
なんたん
実際参拝してきたわ。とても気持ちのよい場所だったわよ
この記事では、住吉神社のご由緒、お祀りしている神様とご利益、境内の見どころや場所、年間行事などをまとめました。


下関住吉神社のご由緒

『日本書紀』の記述によると、住吉神社の始まりは1800年以上前、古墳時代の神功皇后の三韓征伐に遡ります。

住吉大神のご神託によって、神功皇后は朝鮮半島に出兵。
その際、住吉大神が航路を守護してくれたため、無事に朝鮮を平定して戻ってくることができたとされています。

朝鮮からの帰路、ふたたび大神から「長門のこの地に荒魂(あらみたま)を祀るように」とのご神託があり、その通りに祠を作ってお祀りしました。

以来、長門国一宮、国弊中社(明治4年)、官弊中社(明治44年)、神社本庁別表神社(昭和22年)として現在に至ります。

住吉神社は日本全国に約600社もあるそうですが、ここ下関の長門国一宮住吉神社は、大阪の住吉大社、博多の住吉神社とともに「日本三大住吉」のひとつに数えられています。

つぶた
つぶた
お祀りしている荒魂ってどういうものなの?
神様の霊魂が持つ二つの側面を、荒魂(あらみたま)、和魂(にきみたま)といいます。荒魂とは、神さまの荒々しい面です。

一方の平和的な面である和魂は、大阪の住吉大社に祀られています。

下関住吉神社・ご利益、ご祭神

住吉神社には、主神である住吉大神の荒魂をはじめ、複数の神様をお祀りしています。

つぶた
つぶた
五つの社殿にそれぞれご祭神がお祀りされています

第一殿 (拝殿向かって左から)
住吉大神・荒魂 (祓の神)

第二殿 
応神天皇(おうじんてんのう/武の神、出世開運の神)

第三殿 
武内宿祢命(たけのうちすくねのみこと/長寿、病気平癒の神)

第四殿 
神功皇后(じんぐうこうごう/安産の神)

第五殿 
建御名方命(たけみなかたのみこと/農業、狩猟・航海・勝負の守り神)


住吉神社境内御由緒板には、荒魂とは「積極果敢に物事を成就させ給う御神威の顕現」と書かれており、古くはとくに勝神としての信仰が強く、海上交通の神、交通安全、厄祓、清祓などの祈願が多くあったとのこと。

そのほか、家内安全・五穀豊穣・商売繁盛・学力向上・病気平癒など、多くのご利益があることで知られています。

下関住吉神社・見どころ

時の権力者が寄進した歴史的建造物

本殿(国宝)

住吉神社はその創建の由緒から、鎌倉時代には歴代将軍、大内氏や毛利氏ら時の権力者の崇敬を受けてきました。

檜皮葺(ひわだぶき)流造の本殿は、応安3年(1370年)、守護大名だった大内弘世(おおうちひろよ)によって再建されたもので、昭和28年、国宝に指定されています。

五つの社殿を相の間で連結した九間社流造の形式をとっていますが、正面に千鳥破風が設けられているのは流造としては異例なのだそうです。

本殿の周囲は透塀で囲まれているので、建物全体を見ることはできませんが、檜皮葺の屋根や拝殿とつながっている様子などは見ることができますよ。

拝殿(国指定重要文化財)

本殿の前にある拝殿は、天文8年(1539年)、「三本の矢」で有名な戦国大名・毛利元就(もとなり)が寄進したもので、昭和29年に国の重要文化財に指定されています。

拝殿は四方吹放ちの建物で、本殿の第3殿につながっています。

こういった縦に長い拝殿の遺構は少なく、文化的にも大変貴重なのだそうですよ。

ご祭神・武内宿祢命お手植えの大楠

住吉神社は山口県有数のパワースポットとしても知られており、そのパワーの源は、境内の右側奥にあるご神木の大楠といわれています。

この大楠は、ご祭神である武内宿祢命がお手植えされたと伝えられる御神霊樹です。

武内宿祢命は、第12代から第16代までの天皇に仕えたと伝えられる非常に長命の忠臣で、本殿の第三殿に長寿の神として祀られています。

幹の部分は大きな空洞になっていますが、それでも空に向かって多くの枝を伸ばし、青々とした葉を茂らせています。

ものすごい生命力ですね!

樹齢1800年以上というその姿、思わず息をのむほどのなんともいわれぬ迫力です。

なんたん
なんたん
すべてを清らかにしてくれるようなパワーを感じ、思わず何度も手を合わせていました

下関住吉神社・境内の末社をめぐる

 住吉神社の境内には、多くの末社があります

 境内を散策しながら、末社にもお参りしてみてはいかがでしょうか。

東側の鳥居をくぐると、6つの末社が並んでいます。

七社(諸願成就)、蛭子社(海上安全・豊漁・家運隆昌)、田尻社(知恵さずかり、学問成就)、若宮社(心身健康、道しるべ)、高元社(病気平癒、縁結び)。

それぞれにご神徳があります。
住吉神社本殿と合わせて、より一層のご利益を期待できるかもしれませんね。

厄払いのための厄割玉お祓い所もありました。

社務所で厄割玉をいただき(300円)、石に向かって投げて割ります。

本厄の方と、厄年に限らす厄を祓いたい方では投げる場所が変わってきます。厄年ではなくても、ぜひ厄払いしてみてくださいね。

なんたん
なんたん
やってみました。楽しく厄を祓えましたよ!
つぶた
つぶた
玉が樹林の中に飛んで行って、もう一度厄割玉をいただいたんだけどね…

大楠のそばにある稲荷神社は、天保10年(1839年)、伏見稲荷神社から勧請されたものです。

昭和6年(1931年)、住吉神社境内に鎮座しました。

下関住吉神社・年間行事

歴史ある住吉神社では、多くの行事・神事が行われています。
ここではおもなものをご紹介します。

和布刈(めかり)祭

旧元旦に行われる和布刈祭は、ワカメを刈り取って神前に供える神事です。

旧正月の夜、神職が海に入りワカメを刈ります。
社殿に持ち帰り御祈祷したワカメは、「開運ワカメ」として参拝者に授与されます。

なお、住吉神社の和布刈神事は一般公開されていません。

御田植祭

(引用元:写真AC、住吉大社の御田植祭)

5月第3日曜に行われるのが、千数百年もの長い間続いている伝統行事「御田植祭」です。

毎年、地元勝山中学校の生徒が奉仕者として参加し、早乙女や八乙女に扮して神田にて田植えを行います。

河渡祭(かわたりさい)

開運を祈願する「河渡祭(かわたりさい)」は、毎年12月1日に行われています。

約450年前、川を挟んで毛利軍と尼子軍が膠着状態になっていました。

毛利軍は住吉神社に戦勝を祈願。全軍に餅やお酒をふるまって気勢を上げ、一挙に川を渡って大勝を得たという故事に由来します。

御斎祭・例祭

(写真はイメージです)

例年12月8日から14日の間、境内にしめ縄を巡らせて一般の参拝者が境内に入れないようにする「御斎祭(おいみさい)」は、境内の穢れを徹底的に払う物忌みの神事です。

御斎祭が明けた15日に例祭を行います。

■住吉神社のおもな年中行事、お祭りを詳しくまとめています。
住吉神社【下関市】お祭まとめ・伝統ある神社の年中行事や祭を紹介

下関住吉神社・基本情報

場所 下関市一の宮住吉1丁目11-1 
問合せ 083-256-2656
御朱印・御守 社務所にて頒布
御朱印は通常の御朱印に加え、時季限定の御朱印あり
オリジナルの御朱印帳もあり
駐車場 あり(無料)
アクセス 車の場合:中国自動車道下関ICから約10分
公共交通機関の場合:JR新下関駅からサンデンバス(およそ5分)「一の宮」下車、徒歩5分
JR新下関駅から徒歩30分
その他 宝物館あり(大人300円、子ども150円)

駐車場

正面の鳥居のあたりに駐車場の矢印があり、矢印通りに行くと無料駐車場があります。

この駐車場は神社正面と反対の場所にあるので、正面まで歩いて行ってお参りするようになります。(駐車場あたりからも参拝できるように鳥居があります)。

奥には第二駐車場もあります。こちらは300台程度駐車可能です。

まとめ

長門国一宮・住吉神社をご紹介しました。

下関市育ちのわたしにとって、住吉神社は小さい頃からお正月の三社参りでおなじみの神社でしたが、こんなに歴史と由緒ある神社だったとは。 あらためて知ってとても驚きました。

御由緒を知った今、こんなに価値のある神社が身近にあったこと、年始に参拝できていたことはありがたいことだったのだなと、しみじみ感じています。

下関市民のみなさんはじめ、県内外の方々に、由緒ある住吉神社にご参拝いただきたいです ^^

ぜひ、ゆっくりと神社の雰囲気を味わいながらご参拝くださいませ。