今回は伝統的な山口弁「のんた」の意味や使い方を解説します。

山口県西部で生まれ育ったわたしは、明治生まれの祖父母と一緒に暮らしていながら、「のんた」を使っている場面に出くわしたことがありません。

県西部では使われていないのか?どの地区で使われているのか?そして、「のんた」っていったいどうやって使うのか、調べてお伝えします。

「のんた」の意味・使い方

「のんた」は「ねえ、あんた」と親しみを込めて相手に語りかける言葉が凝縮化したもの
文末や語尾の切れ目に、念押ししたり感情を込めたりする言葉です。

用例・さむうなったのんた(さむくなったねえ、あんた)
「ありがとうございます」「いいえのんた」(どういたしまして)

こんな風に語尾につけて使います。

「のんた」と同じ意味でつかわれる山口弁には「のーた」「うんた」「ねーた」などがあり、男性は主に「のーた」を、女性は「ねーた」、粗野な感じでは「うんた」と使い分けがあります。

「のんた」の歴史、使われる地域

 この「のんた」は昭和以降に生まれた人にはなじみがなく、あまり使わなくなっている方言です。
おもには県中部、東部でよく使われていたそうです(もちろん他の地域の方で使っている方もいます)。

わたしが生まれ育った県西部の豊関地域では、「のんた」は全く聞いたことがなく・・・「のんた」ではなく、「のう」をよく使ってました(用例・さむうなったのう、いいえのう)。「のう」が「のんた」と同じ意味の方言なんでしょうね?

うちの主人は県央で生まれ育ち、小学生のころ球技大会の開会式などで「今日はケガなく元気にやりましょうのんた」と主催者さんが言われていたそうです。なので、なじみがあるんだそうですよ。

「のんた」豆知識

「のんた」の名前が付くお菓子

豆の入った外郎で有名な「豆子郎(とうしろう)」。
そのメーカー「豆子郎」では「のんた」という名の和菓子も取り扱っています。

(画像参照:豆子郎公式ホームページhttps://toushirou.info/)

表面に「のんた」の「の」の字がかたどられた、昔ながらの素朴な味のお饅頭で、豆子郎のホームページには「方言銘菓 のんた」と記されています。
ほんわかした方言「のんた」の雰囲気をよく表したお菓子です^^ 

山口弁をうたった曲「大島のんた」?

県東部の周防大島出身の兄妹デュオ・マウンテンマウスをご存知でしょうか?
マウンテンマウスは山口県内で積極的に音楽活動を行っていて、わたしも柳井フラワーランドでその歌を聴かせてもらったことがあります^^

で、そのマウンテンマウスさんの歌の中に「大島のんた」って曲があるんですね。

この曲の中には山口の方言がいろいろ出てきます()
ああ、こんな語尾も使うよねーとか、聞いてて楽しいですよ。すごーく地元・周防大島への熱い愛が伝わってくる曲。ぜひ聴いてみてください^^
あ、曲のメイン方言はきっと「のんた」です。

まとめ

 今回は「のんた」の意味、使い方、そして「のんた」にまつわるお菓子、曲をご紹介しました。
同じ山口県民でもあまり耳慣れない方言でしたが、新たに出会ったからこそ、その温かみをあらためて感じられたように思います。

昭和より前、「ありがとうございましたのんた」「いいえのんた」と言い合う姿がそこかしこに見られたのかなと想像すると、ほのぼのしてやわらぎますね。
山口県民の人柄の穏やかさを表しているような方言、使われなくなっているのが寂しく感じます。
ちょっと身近な人に親しみを込めたいときに、「のんた」を使ってみてくださいね。