山口県民のわたしにとって、ういろうといえば山口の名菓・・・なんですが、山口の他にも有名なういろうが日本各地にあります。
中でもいちばん有名なのが、名古屋ういろうですね。
山口の外郎を食べ慣れていたわたしは、初めて名古屋ういろうを食べ、あまりの食感の違いに衝撃を受けました!
同じういろうなのに、どうしてこんなに違うんだろう?と・・・。
そこで今回はういろうの歴史、そして山口のういろうと名古屋のういろうの違いについてを調べてみました。

そもそも、ういろうとは?

ういろうとは、うるち米やもち米、ワラビ粉、小麦粉などの粉に黒砂糖や水などを混ぜて、型に入れて蒸したお菓子です。主原料の粉は、作られる地域によって異なります。

ういろうの発祥については諸説ありますが、元々は小田原の薬屋の外郎(ういろう)家に発するとのこと。
小田原の「外郎家」が作っていた痰切りなどの薬の名が「外郎(ういろう)」と呼ばれていたそうで、外郎家が来客用として考えたお菓子が「お菓子のういろう」として広まったという説があります。

山口のういろうは

その起源は

山口ういろうは、室町時代に周防国の秋津治郎作が現在の製法を考えたとの説があります。
江戸時代に「白外郎」として山口市大内御堀の福田屋で作られ、地元の人々にも愛され、毛利家のお殿様にも重宝されたのだとか。著名人では山口市出身の詩人、中原中也も好んでよく食べたのだそうですよ。

その福田屋は戦争で後継者がいなくなり、廃業。その後、福田屋で働いていた職人が今の御堀堂を立ち上げ、山口ういろうを受け継いだといわれています。そして福田屋のういろうをよく食べて味を愛していた人が、今の山口ういろうの人気店・豆子郎(とうしろう)を創業したのだそうです。
そして現在は、山口市内には多くのういろう屋さんができ、県内のほかの地域にも名産のういろうが存在しています。

材料の粉はワラビ粉!

山口ういろうの特徴は材料のワラビ粉です。あの山菜のワラビの根から採れる澱粉を粉にしたものがワラビ粉なんです。実際にワラビの根からワラビ粉を精製するには、とても手間がかかるのだとか・・・。
福田屋さんはこのワラビの根から採れる澱粉の風合いにとても大事にしていたそうです。

ワラビ粉を主原料とし、小豆餡、小麦粉、砂糖などを練り合わせて蒸したものが山口ういろうと言われています。

味や食感は?

山口ういろうの特徴は、何といっても食感です。主原料にワラビ粉を使っているので、口に入れたらもちもちのプルプル。そこに小豆などのくどくない甘みが加わります。

山口ういろうならでは「生ういろう」

山口県内のういろう店には、だいたい真空パックのういろうと「生ういろう」があります。
真空パックより、弾力のプルプル度も味も格段に違う生ういろうは、山口ういろうの中でもとても人気!買い求める方がとても多いです。
ですがこの生ういろう、夏は2日、冬は3日しか日持ちがしません・・・なので、お土産などにはちょっと不向きです。

山口の外郎の代表格、御堀堂の外郎についてこちらでご紹介しています。↓よろしければどうぞ。

名古屋のういろうは

その起源は

ういろうで有名な名古屋には、山口同様、様々なういろう店があります。
名古屋のういろうの元祖は、1659年創業の「餅文(もちぶん)総本店」というお店と言われています。

餅文総本店HPによると、尾張藩の御用商人だった餅文総本店の初代・餅屋文蔵が、2代目藩主の徳川光友に仕えていた明国出身の陳元贇からその製法を教わったのが始まりとされています。

(名古屋、青柳ういろう)

ちなみに全国的に有名な名古屋の青柳ういろうの創業は、1879年(明治12年)。現在、日本一の販売量を誇ります。
東海道新幹線が開通した時に、青柳ういろうだけが全列車内で車内販売を許可されたことから、全国的にその名を知られるようになったそうです。ういろうの包装技術を進歩させ、日持ちを良くしたのも青柳ういろうの青柳総本家なのだとか。
ういろうの知名度アップなどに大きく貢献してこられたんですね!

材料は米粉!

名古屋ういろうは、うるち米からとれた米粉を主原料としているのが特徴です。
米粉と砂糖、水などを練り合わせて蒸しあげたものが名古屋ういろうと言われています。
材料の混ぜ具合、お湯の温度などで全く出来栄えが違ってくるのだとか。ういろうづくりはシンプルだけど、そのぶんとても繊細なんですね。

味や食感は?

米粉を使っているので、名古屋ういろうはもちもちしているのが特徴です。
同じもちもちでも、ぷるぷるの山口ういろうよりもさっくりとした、お団子のような感じの食感です。
固くない蒸し羊羹という感想も聞いたことがあります・・・ちょっとわかりにくいですね(;^_^A

まとめ

今回は山口と名古屋のういろうについて、それぞれ調べてみました。
まとめてみると、その味と食感の違いは主原料の粉の違いによるものでした。
山口ういろうと名古屋ういろうの食感の違いにとってもびっくりしたのを覚えていますが、ワラビ粉米粉という主原料の粉の違いによってこんなに特徴が出るんですね。

またういろうの発祥も小田原ということでしたが、山口にも名古屋にもそれぞれに起源の説があり、それぞれの土地でこだわりのある特徴的なういろうが生まれ、現在にまで受け継がれてきたことがわかりました。
ういろうはその土地土地で愛されてきたお菓子なんですね。
好みはあるでしょうが、それぞれの土地の、お店のういろうの味を楽しめたらいいですね。