周南市鹿野にある鹿苑山漢陽寺は、境内にある7つの美しい庭園で知られる名刹です。
本堂の周りにさまざまな時代形式の庭園が作庭されており、ひとつひとつの庭園を前に、心おだやかな時間を過ごすことができます。

また、漢陽寺は県内屈指の紅葉の名所でもあり、庭園と紅葉をカメラにおさめようと、多くの参拝客が訪れるんですよ。

今回は漢陽寺の歴史や由緒、庭園や紅葉時期の様子、御朱印などについてご紹介します。

漢陽寺の歴史

漢陽寺のはじまりは南北朝時代にさかのぼります。
1374年(応安7年)、大内氏25代当主弘世は当時の名僧用堂明機禅師を招き、一族の祈願所として庵を建てました。
これが漢陽寺の起源といわれています。

その後、第26代盛見が父の思いを受け継ぎ、立派な伽藍の整った寺院としました。
現在漢陽寺は臨済宗南禅寺派の別格地となり、県内屈指の名刹とされています。

【漢陽寺 山門】

本堂は1990年(平成2年)に創建当時の様式を復元(方丈建築)。
山門は1677年(延宝5年)の大火災の後、毛利氏の加護により再建し、2006年(平成18年)に大修理を行いました。

つぶた
つぶた
山門の正面右の扉の穴は、田原坂の戦いのときの大砲の跡と言われているんだって

漢陽寺の見どころ

7つの庭園

多様な庭園で知られる漢陽寺。
その庭園の設計は、「昭和の雪舟」と称された作庭家・重森三玲(しげもりみれい)氏によるものです。
(※重森三玲氏についてはこちら⇒wikipediaより)

重森三玲氏の庭の大ファンだった前住職が、熱心に作庭を依頼。
昭和48年、足かけ8年をかけて平安、鎌倉、桃山、現代と、さまざまな時代形式の6つの庭が完成しました。

なんたん
なんたん
重森三玲さんの作品で、ひとつの寺院にこんなにたくさんの様式の庭が揃っているのは珍しいそうですよ
つぶた
つぶた
7つのうち1つはお弟子さんによる庭なんだって

こちらでは、重森三玲氏の作庭した庭園をご紹介します。

曹源一滴の庭(そうげんいってきのにわ)

山門をくぐる前に右手に現れるのが、曹源一滴の庭。
安土桃山時代の様式で、北宋水墨山水画の画風を庭園に取り入れています。
庭の向かいには、こちらも美しい鏡池があります。

なんたん
なんたん
山門をくぐる前から、大きな石組みに圧倒されました!

曲水の庭(きょくすいのにわ)

漢陽寺の庭の中でももっとも知られているのが、本堂の前に作庭された曲水の庭です。

曲水の庭は、平安時代の貴族が庭を流れる遣水(やりみず)に盃を浮かべ、その流れに合わせて和歌を詠む優雅な遊び「曲水の宴」を楽しんだ庭。
その曲水庭園を再現し、枯山水形式と融合させました。禅庭としては珍しい庭園だそうです。

地蔵遊化の庭(じぞうゆげのにわ)

地蔵菩薩が子どもと遊ぶ様子を表した、平安時代様式の庭です。
四方を廊下で囲まれているので、どこからでも眺めることができます。

つぶた
つぶた
永遠にぐるぐると円を描いているような不思議な庭だね

九山八海の庭(くせんはっかいのにわ)

九山八海とは仏教における宇宙観のことで、この庭では、中心にある須彌山(しゅみせん)を取り囲む九つの山と八つの海を表現しています。
鎌倉時代様式の庭です。

蓬莱山水庭(ほうらいさんいけにわ)

本堂の裏にある山すそと、水の流れを利用した流水式の庭園です。
九山八海の庭と同じ鎌倉時代の様式となっています。

※瀟湘八景の庭(しょうしょうはっけいのにわ)は非公開です。

潮音洞(ちょうおんどう)

本堂の裏手、蓬莱山水庭のそばにある潮音洞は、県の文化財に指定されている史跡。
江戸時代に岩崎惣佐衛門という人物が、水不足に悩んだ鹿野地区に水をひくために作った水路です。

漢陽寺は、潮音洞から流れる清らかな水音とともにあります。境内がとても清浄な雰囲気に包まれているのもそのためでしょうか。

こちらもどうぞ。

鹿野の地を水不足から救った潮音洞については、こちらでご紹介しています。
⇒ 潮音洞【周南市鹿野】平成の名水百選・歴史や駐車場、清流通りも紹介

秋の紅葉

(おいでませ山口写真館より)

境内にはもみじが植えられ、カメラ映えする場所がたくさんあります。
なかでも、法堂の前や、山門前にある鏡池のほとりの紅葉がきれいです。

赤く染まったもみじと鏡池、山門はとても美しいですよ。

(おいでませ山口写真館より)

蓬莱山水庭の背景となっている山すそにも、もみじが植えられており、見どころの一つです。
鮮やかな紅葉の赤が加わり、庭園の美しさがさらに際立ちます。

なお、庭園の撮影に三脚の使用はご遠慮くださいとのことです。

御朱印と消災石

御朱印は受付でいただくことができます。
わたしが訪問した日(令和3年8月末)は書き置きでした。1枚300円で頒布しています。

受付の貼り紙によると、11月の紅葉の時期は御朱印をいただく方もたいへん多く、御朱印帳がわからなくなることもあるそう。
御朱印をいただく方が多い場合は、書き置きでのお渡しになることもあるとのことでした。

御朱印に書かれている「消災石」は、法堂の脇にある石です。

この石には、開山した用堂明機禅師にまつわる言い伝えがあります。
禅師が中国で修行していた寺が火事になっている夢を見たため、この石に水をかけたところ、その寺の火事の火が消えたそうです。このことから、ふれると災いを消す石として祀られています。

鹿苑山漢陽寺 詳細

所在地 周南市鹿野上2872
問い合わせ先 0834-68-2010
駐車場 無料20台(舗装なし、枠なし)
近くに清流通りの無料駐車場あり
アクセス 中国自動車道鹿野ICより車で1~2分
拝観時間 9時~16時
拝観料 400円(中学生以下無料)
その他 座禅、写経などの体験プログラムあり
季節によって夜間特別拝観も行っています
公式HP http://kanyouji.or.jp/

まとめ

今回は鹿野の鹿苑山漢陽寺をご紹介しました。
お庭がすばらしいと聞いていましたが、行ってみてびっくり。想像以上にすばらしかったです!

境内は静かで凛とした雰囲気に包まれ、美しい庭園と潮音洞から流れる水のせせらぎに心が癒されました。
これで拝観料が400円とは!本当にありがたいです。

ぜひ漢陽寺の庭園、そして紅葉を味わって行かれてくださいませ。