毎年11月第4週土曜に行われる防府天満宮の御神幸祭(裸坊祭
西日本有数の荒祭りと言われるお祭りです。
防府市民の一年の総決算であるこのお祭りの日は、ふだんは静かな防府の街中がガラッと雰囲気が変わります!たくさんのお神輿と裸坊で賑わい、あちこちから「兄弟わっしょい!」の掛け声が聞こえてきます。
防府って本当はこんなに活気に満ちてるんだ!と感動を覚えるほどです。

さらにはこのお祭り、今年でなんと!1016回目を数えます!
無実の罪で左遷となった御祭神・菅原道真公の御霊に無実の知らせを奏上する、大変伝統と由緒あるお祭りなんですよ。

わが家は職場でも子供会でもお神輿を出すことがないので参加はしていませんが、しっかりと見てきたので大迫力の歴史あるお祭りの様子をお伝えしますね!

 

防府の街中は裸坊とお神輿でいっぱい!

すごい迫力・神輿の練り歩き

わたしたち親子がお祭りに向かったのは15時半過ぎたころ。
防府駅周辺を歩いていると、「兄弟わっしょい」の掛け声やピー!ピピー!という笛の音が聞こえてきます。だんだんと今日は裸坊なんだ、と実感がわいてきます。

去年は14時ごろに天満宮に行ってみたら早すぎて、おととしは17時半ぐらいに行ってみたので日中の神輿の練り歩きを見られず・・・と、なかなか御神幸祭の全貌を体験できていないわたしたち。ついに、3年目にしてお神輿の練り歩きを見ることができました!

が、遠くに見えていたお神輿に近づいていくにつれ、娘「怖い・・・」
というのも、交差点でぐるぐる回る~!お餅をものすごい勢いで投げつける~(危ない~っ)!回りすぎてぐでんぐでん・・・。白装束の人が集まると、なんか怖そうに見える・・・。
で、祭りの勢いに飲み込まれ、見に来たばかりなのに「帰りたい~」という始末(;^_^A 裸坊の方にお餅をもらって機嫌を直した娘でした。

確かに、天満宮へ続くアーケード街・天神商店街の中は「兄弟わっしょい!」の掛け声と笛の音で耳が痛くなるほど。いつものアーケード街と全然違う迫力に戸惑ってしまったようです。わたしも少々ビビりました(笑)

裸坊たちの迫力ある神輿巡行ですが、地域の各企業や子ども会が用意するそれぞれ独自のお神輿が面白いんです。
わたしの職場でも男性職員さんがお祭り前日、仕事そっちのけでお神輿づくりと準備をしていました。仕事よりも裸坊祭が優先されるほど、防府市民にとっては道真公の御霊を慰める重要なお祭りなんですね。

お神輿は毎年新しいものを作るそうで、知り合いの子ども会は竹から切ってお神輿を作るんだとか。様々なお神輿の中で、目を引いたのが白銀さんのお神輿。
大きな白銀(防府名物のかまぼこ)が乗せられていて、遠くからしか見れなかったけどすぐに「白銀さんだ」とわかって面白かったですよ(写真がなくてすみません💦)。

そして、ある小学校のお神輿はピカチュウ。可愛かった、でもなぜピカチュウ?
趣向を凝らした各団体さんのお神輿を楽しみつつ、そしてちょっとドキドキと怖がりつつ(笑)、賑やかなたくさんの屋台に立ち寄りながら天満宮へと向かいます。

お神輿は懇意にしているお店などを回り、お店の前で神輿を回したり歌ったりすることで御印をあげ、ご祝儀を頂きます。お店では振る舞いを準備していることもあるそうです。

裸坊・大石段を駆け上る!

次々とお神輿が天満宮に向けて集まってきます。
天満宮までやってきた裸坊は、お神輿を担いだまま約58段ある大石段を駆け上がります!!裸坊は歩いて登ってはいけないことになっていて、駆け上がると決まっているんだそうです。
わたしなんて歩いて登るのも息切れするのに・・・(-_-;)

以前階段を駆け上がるのを見に行った方は、ちょうど自衛隊の方々が駆け上がるのを見たそうで、ものすごく元気をもらったよ!て話していました。

大勢の裸坊が階段を駆け上がる姿は、思わずあとちょっと、がんばって!って声をかけたくなります。
駆け上がって境内に上がったあとは、楼門の前で神主さんに清めていただきます。

参道にも境内にもどこもかしこも屋台がいっぱい。とっても賑やかな天満宮です。

潔斎は春風楼で

白い衣装には場合によっては血のように見える赤いインクが付いています。いやいや血じゃなくて。これは潔斎の印(防府天満宮の梅のマーク)です。
境内の中にある春風楼の上では潔斎所が設けられ、衣装や顔、手の甲や手のひらなど好きなところに潔斎のスタンプを押してもらえます。

そこら中に顔や手に潔斎マークをつけてる人がいっぱい。お祭りならではですね。でもうちの子、春風楼に上がりながら恥ずかしがって押してもらわず。まあわたしもなんですけどね(;^_^A 雰囲気に乗り切れませんでした・・・来年は押してもらおう・・・。
裸坊祭に来たなら、ぜひ潔斎の印を押してもらってくださいね^^

クライマックス・御発輦(ごはつれん)

だんだんと日が暮れてきました。17時半ごろにはすべてのお神輿が境内にたどり着き、賑やかな神輿の巡行は終わります。暗くなるにつれ、参道にはどんどん人が集まってきます。そして18時の御発輦(ごはつれん)を待ちます。

発輦は、2基の神輿と道真公の御霊を乗せた約500キロの御網代輿(おあじろこし)を裸坊が拝殿から担ぎ出し、大石段を滑り降ろすことです。御門にくくりつけられた綱を調整しながら御網代輿をおろしていきます。

御網代輿を大石段から降ろす際、手や足を挟まれてケガをする裸坊の方もいらっしゃるとか。周りでも裸坊で病院に運ばれたとか骨折した、とかいうお話はちらほらと・・・。
現在は、ケガがないようにと御網代輿の警護をしている裸坊の方たちが号令を発しながら、じっくり慎重に石段を滑り降ろします。
じっくり降りるといっても58段の石段です。しかも500キロ。怖いですよね💦

午後6時。パンパーンと花火が上がります。御発の合図です!
石段の下からは見えませんが、およそ5000人の裸坊が石段に出てきてざわめく様子、何かを運ぶ音が伝わってきます。ドキドキしながら待っているとお神輿が2基降りてきました。

そしてもうしばらくすると、こんな大きな台車が!おおっ、人より大きい!
この台車に御網代輿を載せるんですね。こんな大きな台車に乗せるって、大丈夫なの?と、台車の大きさに大興奮。安全に御網代輿を乗せられるように、しっかりと時間をかけて固定します。

この台車を石段から降ろすのも大変だったろうに、御網代輿はどうやって下すの~?台車を見て、だんだんと緊張が高まってきます。

裸坊たちが懸命に御網代輿を降ろしている様子が伝わってくる中、ゴオンゴロン!と地響きのような雷のような音。
石段を滑り降りた音です。思わず、周囲でおおおっと歓声が。滑り降ろす様子は見えませんが、その迫力のある音に胸が高鳴ります。

御発連からおよそ45分くら経った頃でしょうか。ゴオンゴオン!とまたものすごい雷のような音がして、見えるところに御網代輿が!石段を滑り降り切りました!
大きい!すごいです。裸坊の方々の怒号が響き渡ります。おそらく、指示が飛び交っているんでしょう。500キロの御網代輿を運ぶのは命がけですから、言葉もけんか腰になりますね・・・。ちょっと怖い。

これから台車に御網代輿を載せます。
何度も調整・・・指示の声が飛び交います。参道の人々も、もちろんわたしたちも固唾をのんで見守ります。・・・乗った!!周囲から歓声と拍手が沸き起こります!

暗く、ちょっと寒い夜の空気の中、大勢の裸坊が血気盛んに御網代輿の周りを乱舞し、夜空に鋭い歓声や怒声が響き渡るその様子は、まさに大迫力。初めて間近で見させてもらい、もう感動と興奮で胸がいっぱいでした。
いつも静かな天満宮の非日常の雰囲気、そして防府の人々の祭りにかけるあつい思いと情熱を感じ、圧倒された一日でした。

子どもたちに、地元防府の歴史あるお祭りのパワーをシッカリと見せることができてよかった・・・心からそう感じました。

石段を下りた後、神輿と台車に乗せられた御網代輿は御神幸の列に加わり、防府天満宮から約2.5キロ離れた勝間の浦の御旅所まで「無実の罪」を奏上します
午後9時45分ごろ、花火の音が聞こえました。無事御神幸が終わり、御網代輿も拝殿に御帰還されました。大勢の裸坊の力によって、道真公の御霊も無実の罪の奏上で若返ったことでしょうね^^

まとめ・防府市民の裸坊祭

防府市外で育ったわたしが裸坊祭を知ったのは、防府に住むようになってからでした。
11月半ばになると義理の両親が「もうすぐ裸坊じゃねえ。裸坊が終わると年末じゃね」と言いはじめます。

義理の両親が言うには、裸坊はとっても危ないお祭りだから絶対に小さい子供たちを近づけたらだめ、とのこと。どれだけ危険な祭りなの?と恐ろしくなったわたしは、防府に引っ越してきてもお祭りに行くことはありませんでした・・・(笑)

それが行ってみようと思うようになったのは、県外から防府に引っ越してきた方の一言でした。
「裸坊行ったらものすごく元気をもらえたんよ。絶対行った方がいいよ!」と目を輝かせながらおっしゃるんです。
そして近所の方が、裸坊祭には小さな子どももみんな家族総出で(男性が)白装束に着替えてお祭りに参加するという話を聞いて、「え?子どもも?」とさらにびっくり。

これは・・・わが家は完全に乗り遅れている。裸坊祭りに対して大きな勘違いをしているのかもしれない。そう思って3年前お祭りに出向き、ついに裸坊祭の迫力と市民の祭りにかける情熱を知ったのでした。

一年を締めくくる、防府市民自慢の荒々しくも活気あふれる御神幸祭(裸坊祭)。
ぜひ男衆の祭にかける迫力と熱気を間近に肌で感じていただきたいです!