毎年2月に行われる、秋吉台に春を呼ぶ風物詩「山焼き」
広大なカルスト台地が炎に包まれ燃え盛る様子を見ようと、毎年1多くの方が冬の秋吉台に足を運んでいます。
今回は人気のイベントである秋吉台の山焼きの歴史や、山焼きが始まった理由について調べてみましたので、詳しく解説します。

山焼きはいつから始まった?もともとの始まった理由は?

「山焼き」とは、新しい草の芽吹きがよくなるようにと、枯れ草を燃やして草原をリセットすることです。
今では秋吉台に春を呼ぶ風物詩として知られていますが、古くから山焼きや野焼きは、多くの農村で行われてきました。
ここ秋吉台の山焼きは、なんと600年以上も前から続いている行事で、周辺に住んでいる方々によって続けられてきました。

年に一度、冬の草が枯れたこの季節に山焼きをしなかったらどうなるでしょうか。春には新たな芽吹きがあり、木や草が育ち、夏には大きく繁茂します。
それが繰り返されることで、カルスト台地は次第に雑木林になってしまい、白く点在する石灰岩は木々に埋め尽くされてしまうでしょう。
なので年に一度の山焼きは、カルスト台地が雑木林にならず、今の草原の姿を維持するために役立っています

草原の姿を維持する山焼きは、もともとは農業で草を利用するために行われていたことでした。
周辺で農業を営む人々は、夏には栄養価豊富なカルスト台地の草を刈り取って、有機肥料として田んぼや畑に鋤き込むことで畑の土の栄養価を高くしていました。
また農機具が発達するまでは、牛や馬が農作業で大活躍していました。その牛や馬に食べさせるエサとしても、カルスト台地の草が使われていました。
周辺の農家の間で草をめぐる争いも起こっていたほどだったそうで、農家にとってカルスト台地の草は畑の土づくりに、そして大事な農作業の戦力である牛と馬のエサにと、決して欠かすことのできないものでした。

そのため、周辺の農家の人々が自分たちの生業を維持しようと、600年以上前からずっと山焼きを行い、カルスト台地が雑木林になるのを防いできたということなんですね。

現在の山焼きを続ける目的は?

ですが今は事情が変わってきました。
農業をする人は減り、畑に草を混ぜ込むことをする人も少なくなってきました。
そんな中でも周辺の住民の方々は、美しい秋吉台カルスト台地の景観を次世代に残すために、これまでと変わりなく年に一度の山焼きを続けてくださっています。

草原の姿を維持することは、秋吉台の生態系を維持することでもあります。
焼くことで害虫を駆除でき、焼かれた草が新しい草の栄養分なりよい草が生えるという、自然環境にとっての利点もあります。

(秋吉台固有種・アキヨシアザミ)

また今の秋吉台には、およそ1200種の植物が確認されていて、貴重種もたくさん含まれています
秋吉台の固有種であるアキヨシアザミや、数が少なくなっているムラサキやフナバラソウなど、貴重な草花がたくさん自生しているのです。
植物だけでなくて昆虫も、絶滅が危ぶまれているような珍しい種類のチョウが秋吉台には生息していたりと、現在の秋吉台は学術的にもとても価値の高い草原なのです。

(秋吉台のムラサキ)

また、山焼きせずにほおっておいたら、茂りすぎた木が倒れて貴重な石灰岩が傷ついてしまったりしてしまう恐れもあります。
貴重な生態系の宝庫である秋吉台はなくなってしまい、次の世代へその宝を引き継ぐことができなくなってしまうんです。
次の世代の方たちに秋吉台という宝物を残したい、そして美しい景観の秋吉台を観光で訪れる人たちに楽しんでもらいたい。
その思いから、山焼きの理由が変わった今でも、周辺の住民の方々が協力して山焼きを行っています。

山焼きの前に行われる入念な準備

わたしたち観光客が山焼きとして知っているのは、実際に火入れを行う日だけです。
秋吉台の春を呼ぶイベントとして、その日めがけてわくわくしながら観に行きますよね。
ですが、地元の方々は山焼きを安全に行い、観光客の方がその光景を楽しめるようにと、事前に地道な作業を行っています。

毎年11月には事前の準備作業である「火道切り」(ひみちきり)を行います。
山焼きが行われる3か月近くも前から準備をするんですね・・・。
ふつうに何の準備もせずに草原に火を点けただけだと、火は周りの森林に燃え広がり、大規模な森林火災になる恐れにもあります。
それを防ぐためにあらかじめ草を刈って、幅6メートル、長さ17キロにも及ぶ安全地帯を入念に作ります。この作業に山焼きまでの3か月を要するのだそうです!

それもすべて、地元の方々がボランティアでされていること。ですが、かなりの重労働と地元の方々の高齢化で負担も大きくなってきています。そうした中、ボランティアとして参加されている団体の方もいらっしゃるようです。
そして山焼き当日には、地元の消防の方や周辺のボランティアの方およそ1000人以上が作業に従事されます。
周りの山に火が移らないようにとヒノキの枝で火をたたいて消すなど、山火事につながらないように広範囲に及ぶ地道な作業を行ってくださっています。

秋吉台山焼きの日程

毎年2月中旬(2020年は2月16日)
2月の秋吉台は天候不順が多く、雨や雪の場合は順延になります。
開催の可否は観光協会のホームページでお知らせ予定とのことです。
時間 9:30(火入れ)~13:00頃

秋吉台の山焼き2020年日程、見どころ、駐車場などについてはこちらの記事で解説しています。参考にしていただけると幸いです。

まとめ

今回は秋吉台の山焼きの歴史や、山焼きを行う理由、その伝統についてご紹介しました。
以前は農業のため、自分たちの生業のためだった山焼きは、今ではそのカルスト台地としての景観を守ってたくさんの観光客の方に喜んでもらうため、そして秋吉台の生態系を維持するためにと、その理由が変わりながらも連綿として受け継がれています。

秋吉台の広大な光景が大好きでよくドライブがてら立ち寄っていますが、この美しい光景を維持するためにどんなに多くの人たちがどれだけの時間と労力を使っていらっしゃるのかなんて、考えたことがありませんでした。
美しい草原の光景を見れることがありがたいと、あらためて感じます。
今回調べて山焼きについて知ることができ、次にカルスト台地に行ってみたときにはまた違う目で景色や植物を見ることができるのではないかと思います。

地元の方々やボランティアの方が準備してくださって行われる山焼き。
秋吉台に春を呼ぶイベントとして、ぜひ迫力いっぱいに燃え盛る炎と秋吉台を実際に見に来ていただきたいです。お待ちしています^^