こんにちは、防府市の主婦なんたんです^^
最近、アニメ『文豪ストレイドッグス』を見始めました(ちょっと遅いですね)。
文豪が大活躍して、面白いですね。 アニメの中で中原中也と太宰治は、犬猿の仲だけどよきライバルとして登場しています。

観ていると、実際には二人はどんな出会いをし、どんな関係だったのか?が気になってきました。
そこで今回は、中原中也と太宰治の性格や出会いのエピソードを調べてみたのでご紹介しますね。
~中原中也の生涯についてはこちらをどうぞ~

中也と太宰、出会った頃の二人の様子

中原中也が太宰治と出会ったのは、1934年11月ごろとされています。

この前年、中也はふるさとの山口で、遠縁で年下の上野孝子と見合い結婚。妻とともに東京に戻り、アパートで暮らし始めていたころでした。

結婚したことで生活が安定し、かつての友人、小林秀雄たち文学を志す仲間との交友も活発になっていきます。その頃に出会ったのが、太宰治、檀一雄らでした。

(太宰治)

太宰治はバーのホステスと自殺を図る騒動を起こし(女性だけ死亡)、小山初代と結婚した頃でした。
また中也と出会う前年、はじめて太宰治のペンネームで小説を発表し、創作活動を開始しています。

中也はしょっちゅう友人知人と飲みに行くほど、お酒が大好き。
ですが酔うと周りの人に喧嘩をふっかける、いわゆる酒乱?のような飲み方だったそうです。
いっぽうの太宰治は中也よりも2つ年下。中也を詩人として尊敬していました。

中原中也と太宰治・出会いのエピソード

ふたりの交友期間は短かったのですが、出会った日のエピソードはすさまじいものでした・・・。
中也は檀一雄(だんかずお・小説家、女優檀ふみさんのお父様)の家で太宰治と知り合います。
太宰治は同人誌『青い花』を刊行するにあたり、檀一雄や中原中也を誘ったので、そのつながりで出会ったようです。

(中原中也)

中也と詩人仲間の草野心平(くさのしんぺい)が檀一雄の家にやってきて、ちょうど居合わせた太宰治と4人で飲み屋に出かけます。
はじめのうち、中也と太宰治は仲良く話をしていましたが、やがてお酒が進むにつれて酒乱の中也が太宰にひどい絡み方をし始めます。

中也を尊敬していた太宰は、厳しい絡みの攻撃を「はい」「そうかしら?」と聞こえるような甘い声色でかわしていました。

それが気に食わなかったのか、「なんだ、おめえは。青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって。全体、おめえは何の花が好きなんだい?」と中也。
「も・・・桃の花」と、太宰は泣き出しそうな顔で答えたそうです。

そして中也が太宰につかみかかったのか、詳細はわかりませんが、一緒に飲みに行った4人で大乱闘になったらしいです・・・。(檀一雄『小説 太宰治』より)

初めて会った日に「青鯖が空に浮かんだような顔しやがって」と言われるとは。いったいどんな顔なんだろう(笑)ちょっと考えられませんね。そして乱闘に発展・・・(;^_^A。
現代なら警察沙汰でもおかしくないですね。

この件があった後、太宰は中也のことを「なめくじみたいにてらてらしてとても付き合えたシロモノじゃない」と評し(猪瀬直樹『ピカレスク 太宰治』参照)、中也に会うのを避けるようになります。

会うのを嫌がるときは、「中原さんとつきあうのは井伏(井伏鱒二、小説家)さんに止められてるんでね」と言ったのだとか・・・。井伏さんいい迷惑です(笑)

太宰治、檀一雄、中原中也らが中心になって作った同人誌『青い花』は、たった3か月。1号で休刊になります。もしかすると、中也の太宰に対する「何の花が好きなんだい?」の問いは、この同人誌の名前に関することだったんでしょうか?
一緒にやっていけなかったのも、なんとなくわかる気がしますね。
(参考:『年表作家読本 中原中也』青木健著 河出書房新社)

まとめ

中原中也と太宰治の出会いは、現代の常識では考えられない出会いのエピソードでした。
当時は未来の文豪たちがお酒の席を交え、盛んに交友を図っていました。きっとたくさんの面白いエピソードがあるのでしょうね。

こんな相容れない仲のふたりでしたが、太宰は中原中也の死をかなり惜しんだそうです。避けてはいたけれども、やはり太宰治は詩人としての中也を尊敬し、認めていたんですね。
アニメの犬猿の仲だけどよいライバルという関係性も、なるほどと思いました。

このエピソードを知ったうえで、中原中也の詩をもう一度味わってみたいですね。