城下町長府の中心部に位置する忌宮神社(いみのみやじんじゃ)は、古事記や日本書紀にも記されているほどの歴史を持つ、長門国二ノ宮です。

仲哀天皇、神功皇后、応神天皇をお祀りしており、1800年ほどの長い歴史を誇ります。
境内の見どころも多く、城下町長府を観光される際は、必ず参拝していきたい神社です。

今回は由緒ある忌宮神社のご利益、御朱印、駐車場などについてご紹介しますね。

■長門國一宮住吉神社についてはこちらでご紹介しています。
住吉神社【下関市】ご利益や駐車場、アクセスを解説・歴史の息吹を感じられるスポット

忌宮神社・ご由緒、歴史

忌宮神社の歴史は大変古く、およそ1800年前にさかのぼります。

第14代天皇である仲哀天皇と神功皇后が、熊襲(くまそ)征伐の際、この場所に仮の皇居として豊浦宮を建て、7年間滞在し政務をとったといわれています。

その後、熊襲を討とうと筑紫の香椎まで進出された仲哀天皇ですが、敗北し一年で崩御されました。
神功皇后は三韓征伐の帰途、仲哀天皇の御霊を豊浦宮の跡地にお祀りになりました。

これが忌宮神社の始まりといわれています。

その後、聖武天皇の時代に神功皇后をお祀りして忌宮とし、さらに応神天皇をお祀りして豊明宮と称し、三殿別立の古社としていましたが、中世に火災によりすべて忌宮に合祀したことから、「忌宮」と呼ばれるようになりました。

忌宮神社・ご祭神、ご利益

忌宮神社のご祭神は、ご由緒にあるように仲哀天皇、神功皇后、そしておふたりのお子様である応神天皇です。

仲哀天皇は武神、神功皇后は安産の神、応神天皇は出世開運、文武両道の神として知られています。
そのため忌宮神社は勝運、安産、子孫繁栄などのご利益があり、長年、時の権力者や地元の方々から信仰を受けてきました。

御守も開運厄除御守、安産御守、学業御守、交通安全御守など幅広い御守が頒布されています。

忌宮神社・境内の見どころ

宿禰(すくね)の銀杏

境内には銀杏の古木があります。

この古木は、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇に仕えた伝説の忠臣・武内宿禰(たけのうちすくね)が手植えしたものとされ、今もその子孫が3代にわたり繁栄しています。

武内宿禰は第12代から第16代まで5代の天皇につかえた、360歳を誇る日本一の長寿の神様。
この銀杏が、開運と子孫繁栄にご利益があるといわれている所以です。

鬼石と数方庭祭

仲哀天皇が新羅の武将・塵輪(じんりん)を射倒し、その首を埋めたとされる場所です。

塵輪の顔が鬼のようであったことから、その首を埋めて覆った石は「鬼石」と呼ばれています。

毎年夏の夜にはこの「鬼石」を中心にして、神功皇后の出陣、凱旋に由来する「数方庭祭(すほうていさい)」が、8月7日から13日にかけて毎夜行われます。

数方庭祭は天下の奇祭として有名なおまつりで、山口県の無形民俗文化財に指定されています。

■数方庭祭について、こちらの記事でまとめています。

数方庭祭【下関市】時期はいつから?読み方は?天下の奇祭の起源や歴史、駐車場を解説!

荒熊稲荷神社

(荒熊稲荷神社、相撲資料館)

境内にある荒熊稲荷神社は、長府藩11代藩主・毛利元義(もうりもとよし)公が、江戸への参勤交代の帰りに京都の伏見稲荷大社に参拝し、ご分霊を勧請して創建されました。

嘉永元年(1848年)、現在地に社殿を再建。
勝運、失せもの発見へのご利益があると伝えられ、多くの人々の信仰を集めました。

毎年11月3日の例大祭で行われる奉納相撲は、「長府の三日相撲」として盛大に開催されています。

相撲資料館

荒熊稲荷神社のとなりには、相撲資料館があります。

昭和49年(1974年)、山口県出身の元大関・魁傑(かいけつ、のちに放駒親方)が荒熊稲荷神社に参拝して、見事に九州場所で優勝しました。

そのご縁から、魁傑関は11月3日に行われる例祭の「三日相撲」に毎年参拝され、後に荒熊稲荷神社の改築10周年を記念し、相撲資料館が併設されました。
資料館には、魁傑関にまつわる品が多く展示されています。

開館時間:9時~16時(入館は15時30分まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館)
入館料:御芳志

蚕種渡来の地記念碑

約1800年前、仲哀天皇が忌宮神社に滞在されたときに、蚕種(さんしゅ、蚕の卵)が日本に渡来しました。

始めて日本に蚕種が渡来した地であることから、昭和8年に全国各地からの奉賛金により、蚕種渡来の地記念碑が建てられました。

毎年3月28日には碑の前で「蚕種祭」が開催され、神事、繭からの糸取り、機織り奉納が行われます。

また御接待として、蚕菓子と煎茶の振る舞いがありますよ。

国指定天然記念物 満珠・干珠

(豊功神社より臨む)

忌宮神社には飛び地境内(とびちけいだい)として、豊浦の海に浮かぶ2つの島、満珠(まんじゅ)・干珠(かんじゅ)島があります。
島は無人島で原生林に覆われており、その樹林が国の天然記念物に指定されています。

この2つの島は、神功皇后が龍神から授けられた潮満珠(しおみつるたま)と潮干珠(しおひるたま)から生まれたといわれる伝説の島です。

どちらの島が満珠か、干珠かははっきり決まっておらず、2つまとめて満珠・干珠といわれています。

満珠・干珠を眺めるならば、長府にある豊功神社(とよとこじんじゃ)境内からをおすすめします。
とても美しい眺望ですよ^^

■豊功神社についてこちらの記事でまとめています。

豊功神社【下関市】ご利益や見どころ、駐車場は?日本一の初日の出スポットを散策

御朱印帳と御朱印は?

忌宮神社には、オリジナルの御朱印帳が頒布されています。

表は本殿、裏側に数方庭祭をデザインしたもので、明るいデザインと暗めのデザインのものがあります。
くわしくは忌宮神社公式HPにてご確認ください。

御朱印は御守授与所にていただけます。
ご祈願は毎日9時~16時30分まで受け付けています。

忌宮神社・基本情報

所在地 下関市長府宮の内町1-18
問い合わせ先 TEL : 083-245-1093
FAX : 083-245-9426
駐車場 およそ10台無料
止められない場合は広庭の方へ(50台程度駐車可)
アクセス ・JR下関駅からバスで23分「城下町長府」バス停下車、およそ徒歩5分
・下関ICから車でおよそ20分
おもな祭・行事 奉射祭(1月15日ごろ)
節分祭(2月3日か4日)
蚕種祭(3月28日)
春季大祭(5月15日に近い日曜日)
数方庭祭(8月7日~13日)
荒熊稲荷神社・三日相撲(11月3日)

御斎神事(12月7日夕方~15日早朝/参拝できません)
例大祭(12月15日)
公式サイト 忌宮神社
公式インスタグラム

場所や駐車場

城下町長府バス停から、長府の商店街に向かってまっすぐ進むと、突き当りに忌宮神社の鳥居が見えます。

車の場合は鳥居前の信号を城下町長府側に入り、商店街に突き当たって左折し、つぎの交差点を右に曲がると、右側に神社の境内や駐車場があります。

まとめ

城下町長府の忌宮神社をご紹介しました。

こちらの神社は若かりし頃に仕事中、よく休憩させていただいていた神社でした。
まさかこんなに由緒があって見どころの多い神社だったとは…、あらためて知ると驚きです。

近くにいても気づいてないことって多いですね。
あらためてご由緒や歴史を知ることができて本当によかったです。

境内にはたくさんの鶏や鳩、烏骨鶏が放し飼いされ、参拝した方が憩える神社です。
長府にいらっしゃったらぜひ、お立ち寄りくださいませ。