「いとこ煮」をご存じですか?
いとこ煮は日本各地に伝わる郷土料理で、地域によって作り方や材料に違いがあります。
わたしが小さい頃(うん十年前です)は、小豆と白玉団子が入った、煮詰めたぜんざいのようないとこ煮が給食(下関市)に出ていましたが、大人になって全く甘くないいとこ煮を食べて、かなりの衝撃を受けました(笑)
そこで今回は、いとこ煮とはどんな郷土料理なのか、その由来や、山口県内の地域による作り方や違いを調べてみたのでご紹介しますね。
いとこ煮とは?
いとこ煮は、農作物などに小豆を加えて煮た郷土料理です。
古代から赤色は、魔除けの色として邪気を払うと考えられてきました。
赤色の小豆も厄除けの力を持つとされ、お祝いの席や季節の行事で食べられてきました。
だからこそ、日本各地、同じ山口県内でも地域で特色が異なるいとこ煮ができたのですね。
いとこ煮の由来は?
いとこ煮の名前の由来は、具を「おいおい(追い追い、あとからあとから)」、「めいめい(それぞれ、ひとりひとり)」で足していくことから、「甥(おい)」と「姪(めい)」にかけて「いとこ煮」と名づけられたとするのが語源のひとつです。
材料がすべて野菜だから「いとこ」、いとこなど親戚が集まった場で食べるから、などなど、いとこ煮の名前の由来には、ほかにもたくさんの説があるといわれています。
山口県のいとこ煮の特徴は
山口県に伝わるいとこ煮は、秋から冬にかけて、冠婚葬祭のごちそうとして作られています。
山口県のいとこ煮には、大きくわけて2つのタイプがあるそうです。
ひとつは日本海側で作られる汁気の多いもの、もうひとつは瀬戸内側の煮詰めたもの。
材料や見た目は地域や家庭によって違いますが、県内どこでも共通して、小豆と白玉団子が入っているそうです。
地域によって違ういとこ煮の作り方
萩のいとこ煮(日本海側)
萩のいとこ煮は、きれいに透き通ったお汁が特徴。
こんぶとしいたけで出汁をとり、塩味がきいた上品なすまし汁です。
小豆は切腹してはいけないと、皮が破れないように気をつけて煮ます。
「いとこ煮は萩の名物冷たけれ」と、歌にも詠まれてあり、冷たいほうがおいしいので温めることはしないそうですよ。
<材料>
小豆 100g(水煮缶でもOK)
だし昆布 10㎝×3㎝ぐらい1枚(なければ粉末昆布だしでOK)
薄口醤油、砂糖、塩 少々
干ししいたけ 3~4枚
かまぼこ 適量
しらたま 適量<作り方>
1. 小豆を茹でます
一晩水につけた小豆をたっぷりの水で火にかけ、沸騰したらゆで汁を捨てます(茹でこぼし)。これでアク抜きができます。もう一度茹でこぼします。
小豆がかぶるくらい水を加え、柔らかくなるまで1時間ぐらい茹でます。豆の皮が破れないように弱~中火で茹でます。2. 白玉団子を作ります
白玉粉に水を少しずつ加えながら練ります。耳たぶくらいの柔らかさになったら一口大に丸めて、沸騰した湯で茹でます。お祝いの時は、生地の半分に食紅を混ぜて紅白にすることもできます。3. しいたけを煮ます
しいたけは水で戻し、絞って細切りにします。
漉した戻し汁と昆布だし汁合わせて500mlぐらいを火にかけ、薄口醤油、砂糖、塩で味を整えます。しいたけを入れて煮ます。4. 茹でた小豆を3に加えて冷やします
器に盛り、薄く切ったかまぼこと白玉を飾ります。(引用元:JA山口県公式HP いとこ煮(萩風))
瀬戸内のいとこ煮
瀬戸内側のいとこ煮は、お汁がないいとこ煮。
小豆を甘みを抑えて煮た中に、白玉団子を入れたもので、山陽小野田市や周南市新南陽などで作られています。
やはりお祝い時には紅白団子、仏事には白いお団子と、色分けをします。
同じ新南陽でも、場所によって入れる材料が違い、小豆とお団子だけの地域もあれば、お団子とちくわ・蒲鉾を入れる地域(夜市地区)、いか・たこを入れる地域(福川)もあるんだそうです。
光市に伝わるいとこ煮も、甘めに茹でた小豆の中にお団子と茹でだこを入れるのだとか。
場所によって、加えるものもまったく変わってくるんですね。同じ「いとこ煮」なのに、ほんとうに不思議です。
ここでは小豆とお団子の、シンプルないとこ煮の作り方をご紹介しますね。
<材料>(4人分)
小豆 200g
砂糖50~100g
白玉粉300g
食紅 適量
醤油 少々
塩 少々<作り方>
1. 小豆は軽く洗い一晩水に浸しておく。
2. 茹でこぼしを2~3回繰り返す。
3. たっぷりの水に小豆を入れ弱火で煮る。
4. 小豆が柔らかくなったら、砂糖を2~3回にわけて加える。
5. 煮詰まったら、塩、醤油を加えて火を止める。
6. 白玉粉は耳たぶの固さに練り、半量に着色し、一口大の大きさに丸めて茹で上げ、冷水に浸ける。
7. 小豆と団子を軽くまぜあわせ、皿に盛る。
(団子に小豆がからみつくように混ぜる)(引用元:伝え合うおいしいやまぐち/生活協同組合コープやまぐち)
まとめ
今回は山口県の郷土料理「いとこ煮」をご紹介しました。
わたしは下関で育ちましたが、自宅でも親戚が集まる場でもいとこ煮を食べたことがなかったので、いとこ煮を知ったきっかけは給食でした。
給食がなかったら、いとこ煮という料理を大人になるまで知らなかったかもしれません。
現在は防府に住んでいますが、やはりいとこ煮を食べる機会はないままです。
そのため子どもたちも、いとこ煮を知らないまま。給食にも出てこないようです。
地域によっては、今もお祝いの席や仏事でかかせない料理、給食にも取り上げられている郷土料理なのでしょうね。
※記事の内容は、おもに『伝え合うおいしいやまぐち』/生活協同組合コープやまぐち、『聞き書山口の食事』を参考にしました。
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