20才から6年間を、下関市で過ごした金子みすゞ。
下関はみすゞが童謡詩人として世に羽ばたき、終焉を迎えた重要な地です。
みすゞが下関でどんな生活をしていたか、その日常の息吹を垣間見られる詩碑や顕彰碑をめぐる散策ルート「金子みすゞ 詩の小径」が整備されています。
今回はみすゞを詩人たらしめた下関、そして「詩の小径」の見どころをご紹介します^^

童謡詩人として羽ばたいた地・下関

山口県の北部に位置する漁師町・長門市仙崎で生まれ育った金子みすゞ。
20歳の時、兄の結婚をきっかけに母ミチのいる下関に出て生活するようになります。

当時の下関は、海洋都市として大変賑わっていました
母ミチの嫁ぎ先・上山文英堂があったのは、下関の中でも中心地の西南部町。今の唐戸周辺にあり、現在でも観光スポットの多いにぎやかな場所です。

テル(みすゞさんの本名)も、仙崎でのゆっくりした生活から一転。
多くの人や情報、流行が行き交う活気あふれた下関で、自分も詩を書けるのでは、とおおいに刺激を受けたことは間違いありませんね。

(現在の下関の風景)

下関では小さいながらも、上山文英堂書店の支店(商品館)をひとり任されます。そこはテルさんの本に囲まれた王国で、詩人になる夢を育んでいく場所になりました。
店番をしながら片手に鉛筆を握って、詩を作っていたのでしょうか。想像してしまいますね・・・。

そして童謡雑誌に作品を精力的に投稿、西条八十に「若き童謡詩人の巨星」と言わしめます。
きっと仙崎にいたままでは、自作の詩を東京の雑誌に投稿するということまでは、できなかったかもしれませんね。

童謡詩人として羽ばたき始めた喜びの地・下関。
ですがその後4回の転居を余儀なくされるつらい結婚生活を送り、最後を迎える地でもありました。
みすゞが下関で生活したのはおよそ6年間。
下関の中心部にはそこかしこに、みすゞの日常を身近に感じられるゆかりの地があります。

現在の下関市街に、みすずの足跡をたどる

2011年、生誕100周年を記念して、唐戸周辺のみすゞのゆかりの地を辿る約1.6キロの「みすゞ 詩の小径」が開設され、みすゞを記念する詩碑や顕彰碑が建てられました。

子どもと唐戸に遊びに行ったときにいくつか詩碑を見たことがありましたが(;^_^A、散策ルートになっていたのですね。
散策ルートの詩碑や顕彰碑の中から、いくつかの見どころをご紹介します。

旧秋田商会ビル

詩の小径のスタートは旧秋田商会ビル
近くにはカモンワーフや唐戸市場、海響館など観光スポットがたくさんある、今も通年観光客の多い場所です。

このビルは、大正4年(1915)に竣工した和洋折衷のユニークな建築物で西日本で最初の鉄筋コンクリート造り。屋上にはなんと!日本庭園と茶室を備えています!
当時の下関が先進の技術を取り入れた建物を建造するほどに栄えていたことがよくわかりますね。
みすゞさんもそんなにぎやかな下関でたくさんの刺激を目から耳から五感で受け止めていたことでしょう^^

この少し離れたところにみすゞさんの勤めていた商品館がありました。上山文英堂から商品館に通勤するときに、この秋田商会ビルを眺め、となりにある南部町郵便局で雑誌社への作品を投函したのでしょうね・・・。
想像すると胸が熱くなってきます(*´ω`)

国内に現存する同種建築物としては最古級のものですが、現在は観光情報センターとして建物内部(屋上部分を除く)を公開しています。一階にみすゞと弟正祐に関する常設展示コーナーがあります。
外壁には詩の小径の地図もありますので、それを見て散策レッツゴーです。

旧秋田商会
〒750-0006 山口県下関市南部町23-11
入館料:無料
営業時間:9:30~17:00(最終入館16:40)
休館日:12/29~1/3

寿公園

商工会議所のとなりにある寿公園
こちらにはみすゞさんの詩碑がそのお写真とともに設置されています。

日中は小さい子どもたちでにぎわう公園。小さなころから自然にみすゞさんの詩に触れられるなんて、なんだかいいですね^^
ふだんの公園にあった詩が、山口県の誇る童謡詩人の詩だったんだよ、って知ったとき、子どもたちはどう思うのでしょうね。

亀山八幡宮

関の氏神として親しまれている亀山八幡宮
こちらの境内には世界最大のふく(下関ではふぐをふくと言います)の像、林芙美子の文学碑など、歴史的な史跡がありますが、その中にはみすゞの作品「夏越しまつり」の詩碑もあります。

夏越しまつりは毎年7月29、30日に亀山八幡宮で行われる夏祭りです。今も続く夏祭りをみすゞさんも見ていたんだと思うと、とても身近に感じますね^^

みすゞが最後に写真を撮った三好写真館は、八幡宮石段の左側にありました(現在は駐車場になっています)。自殺当日、どんな思いで写真を撮ったのでしょうね・・・亀山八幡宮では、みすゞさんの娘・ふさえさんを守ろうとする強い決意を感じられるかもしれません。

亀山八幡宮
〒750-0004 山口県下関市中之町1-1
交通アクセス: JR下関駅からバスで7分→ 「唐戸」バス停 から徒歩で4分
車の場合 下関ICから車で10分(無料駐車場あり)

ご紹介したのは3か所ですが、「金子みすゞ 詩の小径」はスタートの旧秋田商会ビルからゴールの唐戸市場前まで、10か所の詩碑や顕彰碑が設置されています。

詩の小径ルート・コース
1)旧秋田商会ビル前 詩碑「障子」
2)上山文英堂本店跡 詩碑「みんなを好きに」
3)金子みすゞ顕彰碑(寿公園) 詩碑「はちと神さま」
4)黒川写真館跡 詩碑「山の子濱の子」
5)弁財天橋 詩碑「不思議」「砂の王国」
6)商品館跡 詩碑「キネマの街」
7)唐戸銀天街 詩碑「日の光」
8)亀山八幡宮 詩碑「夏越まつり」
9)三好写真館 詩碑「鶴」
10)唐戸市場前 詩碑「私と小鳥と鈴と」

「詩の小径 散策マップ」はこちら

「金子みすゞ 詩の小径」

交通アクセス: JRの場合 下関駅からバスで7分(「唐戸」下車)
車の場合  下関I.Cから車で15分
駐車場:周辺駐車場はこちら

まとめ

金子みすゞが詩人として世に出て、この世を去るまでを過ごした下関。

じつはわたし下関で生まれ育ったのですが、金子みすゞが下関で暮らしていたなんて全く知りませんでした・・・(お恥ずかしい(>_<))。金子みすゞと言えば仙崎、と思ってたので・・・。
教科書に載るようになってからはわかりませんが、けっこう下関市民もわたしみたいに身近なゆかりの地を知らずに過ごしているかもしれません。

子どもたちやご家族で、下関観光の際に、また下関近郊の方も、みすゞさんのいた時代の息吹を感じながら散策してみていただけたら幸せます^^
わたしもいくつかは観ていましたが、詩の小径のルートで唐戸周辺をじっくり歩いてみます。

みすゞさんの人生をもっと知りたい方に・金子みすゞの波乱に満ちた生涯を解説