幅が狭くて潮流が日に4回も変化する、海の難所・関門海峡。
頻繁に行き交う船舶が安全に航行するため、つねに監視を続けているのが海の交番「関門海峡海上交通センター」です。
今回は「関門海峡海上交通センター」の仕事や潮流情報、ライブカメラ、一般開放についてご紹介します!
海峡の交通を守る・海上交通センターとは
海上保安庁の海上交通センターは日本全国に7か所に設置されています。
海峡が狭くて潮の流れが速い関門海峡の海上交通センター(通称関門マーティス)は、北九州市門司区にあります。
(海上保安庁HPより)
関門海峡の航路で一番狭い関門橋の下は、幅500メートルしかないのだそう。
この狭くてS字に曲がりくねった海峡を、1日なんと約700隻もの船が通っていると言われています。
車で言えば、狭い道が主要道路になっているようなもの。車は渋滞で止まれますが、船はそうはいきません。
海上交通センターでは狭い海峡をたくさんの船が安全に行き交うことができるように、天気や潮の流れ、船舶の航行状況などを、船に乗っている人に無線やラジオ、インターネットや電話で情報提供しています。
空港の管制官のような役割なんですね。海峡を通る船舶にとって、なくてはならない存在です。
潮流信号所
下関市の壇ノ浦(火の山の下)あたりに、大きな電光表示板があります。見たことがある方も多いかもしれませんね。
関門海峡では、関門橋下あたりの海底に設置した潮流観測センサーで潮流の方向、速さを観測し、その潮流情報を部埼(へさき)、台場鼻、火ノ山下の3か所で電光表示板により表示しています。
(海上交通センターHPより、火の山下電光表示板)
表示板には大きくアルファベットが一文字表示されたり、やじるしが表示されたり・・・。
これは海の信号で、アルファベットで潮の流れの向き、数字で潮の流れの速さ、やじるしでこれからの潮の流れの速さの予測を伝えています。
この潮流信号所があるのは関門海峡と来島海峡(瀬戸内海)だけなのだそうです。
どちらも潮流が速く、地形的に見通しが悪いことが共通しています。また電光掲示板が見えない場所を航行する船のために、無線放送、テレホンサービスでも情報提供されています。
水先案内人
海の難所である関門海峡では船の事故が多いため、航行する船舶に水先案内人の同乗が義務付けられています(強制水先区に指定されています)。
水先案内人とは多くの船舶が行きかう内海、海峡で、それらの環境に不案内な外国船や国内船長を補助し、船舶を案内する役目をしており、水先人免許(国家資格)が必要です。
水先案内人は海上交通センターとは別組織ですが、海上交通センターの運用管制官とともに関門海峡の船の安全をつねに監視しています。
ホームページで航行船舶の確認も
緊急情報や、関門海峡の30分ごとの風速や船舶航行情報は、海上交通センターのホームページで確認できます。
大型船の入航予定時刻や船の名前がみられるので、事前に確認しておくと、関門海峡を眺めながら「あの大きな船はもしかしたらこの船かな?」と親子で話しながらシップウォッチングを楽しめるかもしれませんね。
船の種類(コンテナ船、自動車専用船など)もわかりますので、関門海峡を通る船がより身近に感じられること請け合いです。
リアルタイムで関門海峡の様子を観られるライブカメラ
ホームページでは大瀬戸付近と早鞆瀬戸付近(海峡の幅が狭い壇ノ浦とめかりの間)の二か所に設置されたライブカメラの映像を提供しています。
カメラの制御権を2分30秒ほど取得することができ、リアルタイムで海峡の様子を観ることができます。
もちろん、このライブカメラは船舶で航行している方が使うためのものです。むやみに使うのは遠慮しましょう。
関門海峡海上交通センターのホームページ(船舶航行情報、ライブカメラ)はこちら。
海上交通センターの一般公開
関門海峡海上交通センターの施設は、毎年5月末ごろに行われる「門司みなと祭」で一般公開されています。
10時から15時までと短い時間ですが、海上保安庁の制服試着や活動内容の展示、運用室の見学などが行われています。
またこのお祭りでは、門司港レトロ地区で巡視艇の一般公開も行われます。
2020年の門司みなと祭の日程、イベント内容はまだ公開されていませんが、ぜひ海峡を守る海上交通センターを見学してみてくださいね。(イベント情報は海上保安庁のホームページをご確認ください)
関門海峡海上交通センターの施設情報
〒800-0064 福岡県北九州市門司区松原2丁目10-11(国道199号線沿い)
TEL: 093-381-6699
交通アクセス
JR門司駅から徒歩でおよそ22分(1.8キロ)、JR門司駅からバスよりも徒歩の方が便利なようです。
まとめ
関門海峡の安全を守る、海上交通センターの仕事をご紹介しました。
当たり前ですけど、海にも交番のように交通整理をする機関があったのですね。今回、わたしもいい勉強になりました。
海上交通センターの仕事のおかげで、関門海峡を行き交う船や汽笛の交錯を、穏やかに眺め、聴いていられるんですね。
海峡を大型船が行き交う姿を、その裏で働いている方々を想像しながら眺めてみるのもいいかと思います。