萩ガラスは、萩市笠山にある萩ガラス工房でつくられている国内最高レベルの品質を誇るガラス製品です。

笠山でしかとれない「石英玄武岩」を原料に、原石の採掘・精製、商品の企画・製造までの全工程がこちらの工房で行われています。

この記事では、萩ガラスの歴史と特徴、ガラス工房の見学やガラス作り体験教室の魅力、口コミについてご紹介していきます。

萩ガラスの歴史

萩ガラスの歴史は、幕末の1859年に地元萩市の科学者「中嶋 治平(なかしま じへい)」によって開かれたガラス製造所に始まります。当時は萩市江向の南園(現・萩自動車学校)にありました。

治平は科学者として幅広い分野で先端技術を学び、その知識や技術を藩に持ち帰りながら、同時に長崎・薩摩でガラスの製法を学んだり、江戸から切子職人を招くなどして萩ガラスの製造に力を尽くします。

やがて完成したガラス器は、交易品として藩の財源を潤したり、天皇への献上品とされるなど高い評価を得ます。

ところが、1866年の4月に失火が原因でガラス製造所が消失してしまいます。さらに同じ年の12月に治平が病死するに至って、萩ガラスの歴史は止まってしまいました。

それから時を経て約150年後の平成の時代。関西でセラミックスの会社を経営者していた萩市出身の「藤田洪太郎」さんが、治平が遺した文献や資料をもとに萩ガラスについて調査研究を重ねた末、今によみがえらせたのが現在の萩ガラスとなります。

萩ガラスの特徴

ほかに類をみない強度

一般的なガラス製品が軟質ガラスであるのに対して萩ガラスは硬質ガラスで、衝撃や熱に強いのが特徴です。

そのため、陶器の食器と同じように日用品として扱いやすく、熱いお茶やコーヒーをそのまま注いで飲むこともできます。

みかちゃん
みかちゃん
萩ガラスの食器はいろいろあるけど、コーヒーカップはかなりの人気商品みたいね

特有の色やデザイン

長年にわたる研究や最先端の高度な技術による、ここにしかない独自の色やデザインの製品が多いのも特徴です。

◇ 玄武ガラス
現材料の石英玄武岩の成分と超高温の製法によって生み出される、特有の深くおちついた緑色のガラスです。萩ガラスといえば、この緑色を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

◇ 萩切子
江戸切子の流れを汲んだ24通りもの基本文様を復元して作品に活かしています。

◇ 会津漆塗り
萩ガラスに会津の黒漆・朱漆を吹付技法を使って仕上げた、日本の伝統工芸の融合ともいえる製品です。

◇ 内ひび貫入ガラス
貫入(かんにゅう)とは蜘蛛の巣状の”ひび”のこと。一般的な貫入ガラスはガラスの表面に貫入が入ったものですが、萩ガラスは貫入ガラスを耐熱ガラスで両側から挟み込んだ3層構造で作られています。
これはハンガリーのガラス工芸技術で、藤田さんが自ら現地で会得した技術を持ち帰り、10年以上かけて完成させたものです。
驚くことに、内部のひびは温度の変化と時間の経過とともに増えていき、3年ほどかけて成長するのだそうです。

つぶた
つぶた
まるで生きた工芸品だね。

みかちゃん
みかちゃん
経年変化を楽しめるガラスなんて珍しいわ。使い込んでいくのが楽しみね。

萩ガラス工房について

【所在地】 〒758-0011 山口県萩市大字椿東越ヶ浜1189-453
【TEL/FAX】 TEL:0838-26-2555 FAX:0838-26-2666
【営業時間】 9:00~17:00(年中無休)
<地図>

ガラス製作への思い

創設者の藤田洪太郎さんは、幕末の萩で最先端の科学技術の導入に努め、藩の財政を潤して近代化に貢献しようとした中嶋治平の志に心打たれ「萩ガラスを復興させたい」と思うようになったそうです。

また、「難しくても挑戦してここでしか作れないものを作らないと意味がない」という技術者としての誇りも高く、ご自身の専門分野であるセラミックス開発の知識や技術を活かしたガラス製作に取り組み続けています。

専門性の高さの一例として、加工温度の高さがあげられます。
萩ガラス工房で作られる硬質ガラスは、一般的なガラスよりも300℃以上も高い温度でなければ溶けません。そのためガラスを溶かす炉も特殊なものとなり、製造難易度が非常に高くなります。

溶ける温度が高い分、冷えて固まる時間も早いため、加工出来る時間はわずか30秒!
一般的なガラスの加工時間2~3分に比べると1/4以下の時間で加工作業をおこなわなければいけません。

その上で、3層構造の内ひび貫入ガラスや、10面カットの切子など、正確で高度な技術が必要とされる工程を経て、ここにしかないガラス製品を作り出しています。

工房の見学のポイント

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萩ガラス工房では、製造の様子をだれもが見学できるように作業場をガラス張りにしています。

高い専門性と技術を必要とする硬質ガラスの製作をおこなっているのは日本でもこの工房だけ。
特殊な設備や、伝統の技と最先端の技術を取り入れた職人技など、ほかのガラス工房では見ることができないものがたくさんあります。

時間の余裕をもってじっくりと見学したいですね。

体験教室のポイント

萩ガラス工房の体験教室のポイントは、なんといってもここでしかできない硬質ガラスでの作品作りを体験できることです。
スタッフの方が丁寧に教えてくれるので、初めてでも気軽に安心して参加することができますよ。

<3つの体験メニュー>

◇ 宙吹き(ちゅうぶき)ガラス体験 3700円/一人 (中学生以上対象)
ストローのように中が空洞になった竿(さお)の先に溶けたガラスをつけ、竿に息を吹き込んで空中でふくらませながら形を作る成型方法です。
素材となるガラスは「みどりの萩ガラス」か「内ヒビ貫入ガラス」のどちらかになります。交互におよそ3ヶ月周期で変わります。
※作った製品の引き渡しは翌日以降となります。当日は持ち帰ることができないのでご注意ください

◇ アクセサリー製作体験 1650円/一人 (小学校4年生以上対象)
ガスバーナーを使ったガラス細工体験です。しずく型がとても可愛らしく、ストラップやペンダントトップなど楽しみ方はいろいろです。

◇ 彫刻体験 2000円/一人 (年齢制限なし)
ガラス表面に高圧力で砂を吹き付けて削るサンドブラスト(砂吹き)技法による制作体験です。あらかじめ型紙に書いたものがそのままデザインとなります。

型紙のカットも工房の方にお任せできるので、お子様でも危険な作業はありません。ご家族そろって楽しめます。

みかちゃん
みかちゃん
ガラスを「ふーっ」と膨らませるの、やってみたかったのよね。

つぶた
つぶた
家族で楽しめるっていうのがいいな。作品もいい記念になるね。

体験教室の予約や詳細の確認こちらからどうぞ

ガラス作り体験の口コミ

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工房の思い出として、またこれから成長していくヒビにも愛着がわく一品になりそうですね♪

萩ガラスの購入方法

萩ガラス工房にはショップが併設されているので、豊富な種類の中から実際に手に取ってお気に入りのものを選んで購入することができます。

また、工房の公式やその他のオンラインショップでも製品の取り扱いがありますので、遠方の方もネット通販で入手できますよ!

萩ガラス工房オンラインショップ

まとめ

萩ガラスについてご紹介しました。

私はそそっかしいため日ごろガラスを使うことはほとんどないのですが、ガラス製品は大好きで、草花を摘んでガラスの一輪挿しに飾るだけでも気持が穏やかになります。

今回記事を書きながら、子どもの頃にいつものマグカップをガラスのコップに変えるだけで同じジュースが違ったもののようにおしゃれで美味しく感じられたこと。食器棚の奥にしまってあるグラスを引っ張り出しては楽しんでいたことを懐かしく思い出しました。

慌ただしい日常にちょっとガラス製品を取り入れて楽しむ。そんな気持ちの余裕も大切にしたいなと思いました。
我が家にも温かみ、優しさ、可愛らしさだけでなく、タフさと実用性を兼ね備えた萩ガラスをお迎えしたいです♪