こんにちは、防府市の主婦なんたんです^^

山口県民ならよく使う言葉「せんない」
「もう、せんなくてしょうがいないんよね」なんて感じで使いますよね。

方言だろうなあとは思っていたけど、山口県オリジナルの方言だとは思っていなかったわたし。
ブログに寄せられたコメントから、山口県でしか伝わらない方言であることを知り、びっくりしました!
他県で使っても、山口弁の「せんない」の意味は伝わらなかったそうです。

そこで今回は山口県の方言「せんない」についての意味や語源、標準語で使われる「せんない」について調査してみました。

山口弁の「せんない」とは?

「せんない」は山口弁で、「つらい。めんどくさい。」という意味で使われます。
「そんなの、せんないっちゃ(そんなの、つらいんよね)」のように、気持ちを表す便利な言葉として、日ごろから年代を問わずに使う言葉です。

子どもたちは「せんないって初めて聞いた」と言ってましたが、わたしたち年代(40代)はよく使っていますね(つらいことが増えたから?(笑))。

標準語の「せんない」とは?

じつはこの「せんない」、標準語でもあります。
標準語「せんない」は、山口弁「せんない」とは使われる意味が違っています。

標準語である「せんない」は、「努力をしたけど効果がなかった、くやしいが仕方がない、しても手遅れ」の意味。一般的には、「仕方がない」だけの意味でも使われます。
何をしてもどうしようもない、という投げやりな感情が含まれている言葉ですね。

大阪など日本各地で使われていますが、現代の会話の中は「せんない」が使われることはまれで、「せんない」を使う人は年配の方が多いそう。
今では書き言葉や小説の中で見られる言葉、時代劇の中で耳にする言葉になっています。

山口弁「せんない」」と標準語「せんない」の違い

同じ「せんない」でも山口弁と標準語の意味と使い方の違いを見てみましょう。

(山口弁)
「今から出かけるの、せんないなあ」→「今から出かけるの、めんどくさいなあ
(標準語)
「今更言っても、せんないこと」→「今更言っても、仕方のないこと」

このような感じで、山口弁と標準語では意味や使われ方が変わってきます。

ですが、(山口弁)「せんなかったけど、行ってきたいね」→「めんどくさかったけど、仕方なく行ってきたよ」

の場合だと、山口弁「せんない」の意味である「めんどくさい」と、標準語の意味「仕方がない」とが混ざったような意味を持ちます。

そうすると、「何をしても報われない、仕方がない」の意味を持つ標準語「せんない」が、人々の間で長年使われる中で、「報われないのがつらい、報われないことをするのはめんどくさい」の意味に変わってきたのが、山口弁「せんない」ということでしょうか。
山口県で独自の変化をしたのかな?

「せんない」の語源は?

「せんない」は漢字で書くと「詮無い」。
「詮」は本来、「物事の道理の帰着するところ」「究極」といった意味を持ちます。

鎌倉時代に書かれたといわれる『平家物語』や『古今著聞集』などの古典にも出てくる古語で、文中では結果、要点、手段や効果といった意味を持つ名詞として使われています。

平家物語では、「申し受くるところせんは、」(訳 /お願いすることの究極は、)、
「なんのせんかあらんずるぞ」(訳/何の甲斐があるだろうか)。

「詮無し」も鎌倉時代末期に書かれた『徒然草』に出てきます。

「ひとり、『さもなかりしものを』と言はんもせんなくて」
(訳/自分ひとりが「そうでもなかったのに」と言ったとしたらそれもしかたがないので)。(weblio 古語辞典参照)

「せんない」は教科書で学ぶ古典にもしっかり使われている、歴史を持った言葉なんですね。

まとめ

今回は山口弁「せんない」についてお送りしました。

いただいたコメントから、思わず調べてしまった「せんない」。
なぜ標準語の「せんない」が山口県周辺でのみ方言としての意味を持ったのか、そこまでがわからず、ちょっと残念です・・・。

ふだん何気なく使ったり耳にする言葉ですが、いろいろ調べてみるとほんとに面白いですね。
鎌倉時代の人が「詮無し」(何の甲斐もない)と言っていた言葉を、今、山口県民が方言として「これやるの、せんなー」(めんどくさー)って使ってる。不思議ですね^^

山口の方言について、ほかの言葉ももっと調べていってみたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。