明治期からおよそ120年あまり、多くの近代の偉人たちに愛され、広く親しまれてきた料亭「菜香亭(さいこうてい)」。
現在は、観光拠点および山口市民の交流の場に生まれ変わり、多くの人々に公開されています。
山口市菜香亭とは
山口市菜香亭は、平成16年に開館した施設です。
もともとは八坂神社の境内にて、多くの人々に親しまれてきた料亭でした。
明治・大正期には、山口県にゆかりのある歴代の総理大臣や数多くの文化人をもてなし、戦後は公民館式結婚式を開始し、総計約3千組が菜香亭で挙式を行いました。
近代の政治家・文化人から山口市民まで、長年多くの人々に広く親しまれましたが、平成8年に休業閉店します。
しかし、民間から菜香亭の保存活用について請願が行われ、平成12年、現在の場所に移築復元されました。
現在は観光拠点、市民の交流の場として、建物の見学、イベントの体験、各部屋の利用貸出などを行っています。
山口市菜香亭・見どころ
偉人たちの書が一堂に会する!百畳の大広間
まずびっくりするのが、百畳の大広間です!
実際に目にすると、その広さに感動します。一見の価値ありです!
この部屋は3度にわたって増築され、現在の百畳の大広間が完成しました。
結婚披露宴など、大勢のお客でにぎわう時には、縁側を含んだ158畳いっぱいに利用されていたそうですよ。
大広間には、かつて料亭菜香亭を利用した政治家や文化人の方々の揮毫(きごう)が掲げられています。
伊藤博文や山形有朋、寺内正毅、田中義一といった総理大臣9名をはじめ、明治新政府の中枢をになった井上馨や木戸孝允、竹下登や佐藤栄作、岸信介、安倍晋三など、書の数は29枚!
これらの書は現在のサインにあたり、近代の著名人たちがそれぞれの思いを込めて、菜香亭の当主に贈ったものです。
料亭菜香亭が、多くの山口県ゆかりの政治家たちに愛されていたことがわかりますね…。
大広間にたたずんで扁額を眺めていると、近代日本の歴史にタイムスリップしたかのよう。
とても壮観ですよ!
明治時代の良さを残す和風建築
現在の菜香亭の建物は、明治20年から昭和11年までに増築された部分を残したものです。
そのため廊下や梁などあちらこちらに、明治、大正期の和風建築の素晴らしさを感じることができます。
玄関入ってすぐの床は、肥松(こえまつ/古い松の脂が凝縮された部分)の板を、大豆のしぼり汁で毎朝磨いて黒光りさせたものです。
日々たくさんのお客を迎えるために、何十年もずっと磨き続けてきた床板。料亭菜香亭の歴史を感じる、貴重な品ですね。
また菜香亭では、昔の家によくあった「ゆがみガラス」がみられます。
明治から大正時代に製造されたガラスで、ゆがみやゆらぎ、泡などの不純物がまざっていたりして、現在のガラスとは違う味わいを感じられますよ。
建物全体から、レトロな雰囲気をご堪能ください^^
佐藤栄作元首相が愛した北客間
二階には、佐藤栄作元首相が好んで利用した部屋、北客間があります。
この部屋の縁側から眺める中庭と、大広間の屋根瓦の連なりは絶景です!
古い窓ガラスに庭の緑が映えて、あまりの美しさに目が離せませんでした…。
とてもゆったりとした趣のある空間。
佐藤栄作元首相はここで静養したり、会食しながら政治の話をしていたのでしょうか。想像が膨らみます^^
このお部屋をはじめ、客間や和室、大広間などは貸室利用できます!
利用時間帯は午前、午後、夜間と3つにわかれており、またがっての利用もできるそうです。
歴史あるレトロな建物の一室を貸し切れるなんて、贅沢ですね。
きっと、話も弾むことでしょう^^
山口市菜香亭・基本情報
場所 | 山口市天花1丁目2番7号 |
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電話番号 | 083-934-3312 |
開館時間 | 9時~17時 |
休館日 | 毎週火曜日(火曜が祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始 |
観覧料 | 大広間、所蔵品の観覧 大人(高校生以上)100円、小人(小・中学生)50円 |
駐車場 | あり(無料) 駐車場内に多目的トイレあり 普通車:65台 館内用車椅子:2台 |
アクセス | JRの場合:山口駅から徒歩27分(バス、タクシーあり) 路線バスの場合:野田学園前バス停下車(徒歩2分) |
その他 | 貸館あり、ミュージアムショップあり レンタサイクル、甲冑・着物・体験などあり ※詳細は下記公式サイトを確認ください。 |
公式サイト | 山口市菜香亭 |
まとめ
山口市菜香亭をご紹介しました。
何度も近くを通りかかりながら、中には入ったことがなかった菜香亭。
今回はじめて子どもたちと見学して、その歴史と風情あふれる様子に感動しました!
多くの近代の偉人たちに愛された、まさに「山口の迎賓館」。
大広間と30枚近くの扁額、中庭、佐藤栄作元首相が利用されていた北客間は、ぜひご覧になっていただきたいです!