大内人形(おおうちにんぎょう)は、室町時代に山口で栄えた「大内文化」の象徴ともいわれる「大内塗」の技法を活かして作られた伝統工芸品です。

山口市の観光PRマスコットキャラクター「おおちゃん&うっち~」のモチーフにもなっています。

この記事では、西の京大内文化といった室町時代の歴史に触れながら「大内人形」についてご紹介します。

山口「西の京」のはじまり

(一の坂川)

地元山口ではなじみのある「西京(さいきょう)」という呼び名。
この「西の京」の由来は、室町時代に大内氏中興の祖と呼ばれた第24代当主「大内弘世(おおうちひろよ)」による、京を模したまちづくりに始まります。

1363年、弘世は周防・長門(すおう・ながと)二国の守護大名として、将軍足利義詮(あしかが よしあきら)に会うために上京しました。
京の都のたたずまいや文化に心を惹かれた弘世は、京の盆地と地形がよく似た山口に自ら居を構え、京をお手本としたまちづくりに着手。
一の坂川を鴨川にみたて、街路を区画正しく整備し、地名に大殿大路(おおどのおおじ)といった京都風の名前をつけました。

弘世亡きあとも、歴代の当主たちは京から多くの文化人や公家を受け入れ、神社を作って祭りを催すなどまちづくりに努めながら、鉱山の開発や、朝鮮・中国(明)との貿易で財を成し、当時日本一ともいわれた経済基盤を築いたのです。

こうして、山口は名実ともに「西の京」といわれる繁栄を誇り、絢爛豪華といわれる「大内文化」が開花しました。

大内文化とは?

大内文化(おおうちぶんか)は、室町時代に大内氏の庇護(ひご)のもと発展。大内氏が滅亡する1500年代中期まで約200年間続いた文化です。

朝鮮・中国(明)との貿易、京の都からの移民や南蛮の宣教師の受け入れによって、室町文化と大陸・西洋文化が融合した独自の文化となりました。

有名な国宝瑠璃光寺の五重塔をはじめ、国の史跡・名勝や重要文化財に指定されている庭園や神社仏閣などが建造されています。

この大内文化を財政面で大きく支えたのが貿易でした。
銀・銅といった鉱物や、漆器・硯などの工芸品を輸出。中でも重要な交易品として扱われていたのが「大内塗」だったのです。

大内塗とは?

大内塗(おおうちぬり)は、室町時代に勢力を誇った大内氏が、朝鮮や中国(明)への輸出品として奨励したのが始まりとされ、大内文化が終わって貿易が絶えた後も、その技術は受け継がれ、現在は国の伝統工芸品に指定されています。

大内塗の製作

まず数年かけて自然乾燥させた木材を10数段階にも及ぶ工程をかけて加工します。

ここからやっと漆塗りがはじまります。
下塗り、中塗り、上塗りをするごとに乾燥や研磨が繰り返しおこなわれ、1つの作品を仕上げるのにおよそ2か月かかるそうです。

なんたん
なんたん
熟練の技に加えて、なんとも根気のいる作業ですね

大内塗の特徴は?

漆塗りを繰り返すことによる頑丈さと、色あせしにくいこと。
渋い朱色の大内朱(おおうちしゅ)の上に、彩漆(いろうるし)で秋の植物を描き、大内家の家紋「大内菱(おおうちびし)」を金箔で貼り付けた独特の模様です。

なんたん
なんたん
手描きの作業だから、作品ごとに作家さんの個性が表れるのね
つぶた
つぶた
これも大内塗の魅力の一つだね

製品としては、実用品の器やお盆、花器などが挙げられますが、近年はメディアで取り上げられたこともあって、装飾品である「大内人形」が広く知られています。

出典は「山口市公式HP」です

 

大内人形とは?

(出典は「おいでませ山口へ」です)

大内人形の言い伝え

大内人形の誕生には、大内氏24代当主大内弘世(おおうちひろよ)と京から来た花嫁との心温まる物語があります。

室町時代、将軍に会うために上京した弘世は京に憧れ、京を模したまちづくりを始めました。

やがて、自分が住む山口の地に京の三条家から花嫁を迎えますが、この花嫁は遠く離れた京を恋しがって泣いてばかりいました。

花嫁をなんとか慰めたいと思った弘世が、京の都から多くの人形職人を呼び寄せて、屋敷中を人形でいっぱいにしたところ、花嫁はとても喜び、そののち二人は仲良く幸せに暮らしました。

 

なんたん
なんたん
こんな微笑ましい殿と姫のエピソードから大内人形が生まれたのね
つぶた
つぶた
大内人形が夫婦円満の象徴と言われるゆえんは、ここにあったんだね

大内人形と大内文化

人形でいっぱいの弘世の屋敷は、やがて「人形御殿(にんぎょうごてん)」と呼ばれるようになります。
その噂は遠く都まで届き、そのころ戦乱に苦しんでいた京の学者や文化人、公家や僧侶達が、山口に平和で優雅な街を思い描いて移り住んでくるようになりました。

弘世と花嫁の物語によって都の優れた人材が集まり、「西の京」がますます発展して「大内文化」も栄えていったのでした。

大内人形の現在

大内塗の技法が存分に活かされ、山口を代表する伝統工芸品となった大内人形。

その姿は、まあるい顔かたちに”切れ長のタレ目”と”おちょぼ口”の表情が愛らしく、落ち着いた色合いの着物には、金箔の扇や家紋、松や菊などが華やかにあしらわれています。

手のひらに”ころん”と乗るサイズの男女一対の飾り人形がポピュラーですが、ひな人形や五月人形の人気も高まっています。

なんたん
なんたん
そういえば、ストラップや耳かきなんかにも取り入れられているのをみかけたわ
つぶた
つぶた
それだと大内人形をもっと身近に楽しめるね

 

販売は主に製造元や物産館でおこなわれていますが、ネットショップの通販で購入できるものもあります。価格は人形の種類やサイズによって様々ですが、数千円から数十万円。小物は千円台からの手ごろなお値段になっています。

主な製造元と販売所はこちら

 

中村民芸社さんでは、「大内人形の製作体験」も行われているので、興味をもたれた方はこちらをご覧ください。

>>>大内人形製作体験メニュー日程表-中村民芸社公式HP

つぶた
つぶた
職人の技を経験できるなんてすごいや!ぼくも、やってみたいな♪

まとめ

室町時代に栄華を極めた大内氏と花嫁にまつわる物語から生まれた「大内人形」をご紹介しました。

ころんとしたフォルムに愛嬌のある元祖癒し系の顔を見かけたら、どうぞそばに寄ってみてください。

表情や衣装に施された細やかな絵模様に現れる手描きの味わい。
伝統を受け継いだ職人の技をじっくりとご覧いただいて、大内人形の魅力に触れていただければと思います。