防府市にある周防国分寺は、奈良時代、聖武天皇の命によって、日本全国およそ60か国に建立された官立の寺院のひとつです。

創建当初の境内に現在も建物が残っている、全国的にも珍しい国分寺として知られています。

金堂の中にはご本尊の薬師如来をはじめとする重要文化財、県指定有形文化財の仏像が50体以上も安置されており、境内にも見どころがたくさんある周防国分寺。

年中行事や体験も多く行われ、地元をはじめ多くの人々に親しまれているお寺です。

なんたん
なんたん
金堂内の仏像にはどんなものがあるのかしら
つぶた
つぶた
周防国分寺の歴史やイベントも気になるね
この記事では、周防国分寺の歴史や見どころ、仏像などの文化財、御朱印やイベントについてご紹介します。


周防国分寺・歴史やご由緒

国分寺とは

国分寺とは、天平13年(741年)、聖武天皇の命により、諸国に68カ所建立された寺院です。

国分寺は国府かその周辺に置かれ、その国のもっとも大きな建物でした。

なんたん
なんたん
そのため周防国では、国府があった防府に国分寺が置かれたのですね
つぶた
つぶた
創建当時の国分寺には、大門・中門・回廊・金堂・講堂・七重塔などの七堂伽藍があったんだって!

のちに律令体制が崩壊すると財政支援がなくなり、多くの国分寺は廃れていきました。

周防国分寺の歴史

(周防国分寺・本堂)

周防国分寺の創建ははっきりとわかりませんが、『防州国分寺記録』によると、天平19年(747年)には完成していたといわれています。

律令制の終焉とともに周防国分寺も衰退しましたが、鎌倉時代、周防国が総国分寺である東大寺再建の造営料国となったのをきっかけに盛り返し、その後は時の権力者であった大内、毛利氏の庇護を受けました。

応永24年(1417年)、周防国分寺の建物は火災で焼失しましたが、応永28年(1421年)年には大内盛見(おおうちもりあきら)によって金堂が再建されています。

江戸時代後期には、毛利の歴代国主により再建、修復が行われ、今に至っています。

なんたん
なんたん
権力者たちにとても大切にされてきたのですね
つぶた
つぶた
今も周防国分寺が残っているのは権力者たちのおかげだね
周防国分寺は現在も、創建時の境内にそのままの規模や配置で建物が残っています。

今では所在地もわからなくなっている国分寺もある中、このように残されているのは珍しい例とされ、1957年には、境内が「周防国分寺旧境内」として国の史跡に指定されました。

また7年間にわたる金堂の平成の大修理での発掘作業の中で、金堂は奈良時代の創建時からその場所が動いていないことがわかっています。

なんたん
なんたん
1200年も同じ場所にあるなんて!
つぶた
つぶた
場所がわからなくなったり建物が残っていない国分寺も多いのに、周防国分寺は本当にすごいな
なお、本来のご本尊は釈迦如来でしたが、現在のご本尊は薬師如来で、高野山真言宗に属しています。

周防国分寺・境内の見どころ

仁王門(県の文化財)

華美ではなく質実剛健とした仁王門は、県の有形文化財に指定されています

現在の仁王門は、文禄5年(1596年)に毛利輝元が再建したものです。

つぶた
つぶた
静かな境内が、より仁王門の存在感を増してくれているような気がしました

金堂(重要文化財)

門をくぐって境内に入ると、大きくて立派な金堂が目の前に現れます。

現在の金堂は安永8年(1779年)、毛利重就(もうりしげなり)によって再建されたもので、創建当初からその場所が動いていないことがわかっています。

このように大きな金堂が創建当初の位置に残っているのは、全国の国分寺の中でもとても珍しく貴重です。
金堂は国指定の重要文化財に指定されています。

聖天堂

金堂の裏にある聖天堂(しょうてんどう)は、元禄15年(1702年)、毛利吉広が境内に建立、設立しました。

お祀りされている聖天様は、商売繁盛や良縁成就、夫婦和合など、現世におけるあらゆる願望に応え、悩みを救ってくれる神として信仰されています。

境内にある多くの史跡

境内をじっくりと散策すると、たくさんの由緒ある史跡が、ひっそりと配置されています。

全国にも100前後という、珍しい佛足跡。

弘法大師像と子授け地蔵。

そのほか、菅原道真公が井戸に姿を映して自画像を描かれたといわれる水鑑の井戸、五重塔跡など、多くの史跡が残されています。

ぜひ、じっくりと境内を見て回られてくださいね。

大楠や季節の花々

(大楠)

楼門のそばには、樹齢600年を誇る大楠の木があります。

木のそばにはベンチも用意してあり、座って大楠を眺めながら休憩することもできますよ。

また、境内にはたくさんの百日紅(サルスベリ)が植えられており、夏には境内を鮮やかに彩ります。
芙蓉(フヨウ)も多く植えられているので、夏から秋にかけての境内は華やかです。

周防国分寺・金堂内の文化財、仏像

周防国分寺のいちばんの見どころは、金堂内の仏像です。

周防国分寺に来られたならば、こちらの仏像はぜひ、拝観していかれることをおすすめします(有料)。

堂内には、ご本尊の薬師如来をはじめとする重要文化財、県指定有形文化財の仏像が50体以上も安置されています。


金堂内も拝観させていただきましたが、所狭しと並んでいらっしゃる仏像の数々は圧巻です。

実際に金堂の中で拝見すると、その荘厳な雰囲気に息をのみ、とても感動しました。
ぜひご覧になられてくださいね。

金堂内は写真撮影禁止です。
※上記写真は、山口県観光連盟公式観光サイトフリー画像より引用しました。

重要文化財に指定されている仏像をご紹介します。

本尊藥師如来坐像(重要文化財)

坐高218センチ、金堂須弥壇の中央に安置されています。
応永28年(1421年)の金堂再建時に制作されたものと考えられています。

また平成の金堂改修における仏像移動の際、ご本尊の胎内から応永24年(1418年)に火災で焼失した旧本尊の左手が出てきました。

日光菩薩立像・月光菩薩立像(重要文化財)

本尊薬師如来の両脇に安置されており、平安初期の作とみられています。
左右対称の仏像がつくられるものですが、この仏像は左右同じ形をしており、大変珍しいそうです。

阿弥陀如来坐像(重要文化財)

※こちらは持仏堂に安置されており、拝見することはできません。

平安後期の特徴がよくあらわれている像です。
無量寿仏ともいわれ、信仰すると来世には浄土に生まれかわるといわれています。

四天王像(重要文化財)

いずれも2メートルを超す大きな座像。須弥壇の四隅に置かれ、ご本尊の薬師如来を守護しています。

全国に数多く残る四天王像のなかでも古いもので、平安時代後期の作とみられます。

年中行事・ライトアップイベント

周防国分寺では多くの年中行事が行われています。

中でももっとも大きな行事が4月第一土曜に行われる聖天尊大祭です。
11月第一土曜日に行われる薬師大法要 柴燈護摩(国分寺まつり)も火渡りで知られており、どちらも終日、多くの人で賑わいます。


また春のゴールデンウィークや11月の薬師大法要前、一年に2回ほど、夜間に境内のライトアップイベントも行われています。
静かな境内の中、ライトアップされた様子はとてもきれいでしたよ。

そのほか、マルシェやコンサートなど、さまざまなイベントが開催されています。
イベントや季節の境内の様子は、周防国分寺インスタグラムで紹介されています。チェックしてみてくださいね。

周防国分寺・御朱印、御守の受付

御朱印は、金堂裏の事務所にて受け付けています。
御初穂料は300円です。

御守は事務所、金堂内にて頒布しています。

■周防国分寺で御朱印、御守をいただきました。
周防国分寺【防府市】御朱印と御守をいただきました!!ご利益も解説

周防国分寺・アクセス、施設情報

周防国分寺は、防府天満宮から車で2~3分、JR防府駅からは車で7~8分の場所にあります。
少し目立たないので、はじめはわかりにくいかもしれません。

なんたん
なんたん
目印はすぐ近くにある、「幸せますステーションスマイルほうふ」です

所在地 防府市国分寺町2-67
電話 0835-22-0996
事務所受付時間 9時~16時
(御朱印受付もこちら)
金堂内拝観料金 大人500円、小人300円
休館日 月曜休館(月曜が祝祭日の場合は次の日が休館日)
駐車場 あり(自家用車7~8台分、無料)
※駐車場はお寺の裏手にあります。道路に案内板が出ています。
アクセス 【車の場合】
山陽自動車道防府西IC、防府東ICよりおよそ20分
【公共交通機関の場合】
JR防府駅から防長バス②乗場、阿弥陀寺行・国分寺下車(バスは一日9便)

まとめ

周防国分寺は大変由緒があり、文化財も歴史的に重要なものを数多く所蔵している古刹です。

市内に7~8年住んでいながら周防国分寺はこれまで訪れたことがなく、こうしたきっかけをいただくことで初めてその素晴らしさに触れることができました。

たくさんの方が周防国分寺の素晴らしさに触れてくださると、幸せます。